不動産会社は詐欺? 悪質業者? 責任を問う方法

本件ではAさんは不動産会社の甘い勧誘文句に誘われて契約し、大損失を受けてしまいました。不動産会社の責任を追及できるのでしょうか?

契約の取消し

Aさんは不動産の売買契約を取り消せる可能性があります。

Aさんと不動産会社の売買契約に「消費者契約法」が適用される可能性があるからです。
消費者契約法は、事業者と消費者との契約において、立場の弱い消費者を守るための法律で、事業者側へ以下のような行為を禁止しています。

●重要事項を告知しない
●不確実な内容について断定的な判断
●不利益な事実を告知しない
●帰ってほしいといっても帰ってくれなかった
●消費者側に一方的に不利な契約になっていた

契約時、Aさんが不動産会社の担当者から嘘の利回りを提示されたり、「大規模開発が予定されている」と嘘をつかれたり「実際には経費がかかること」を告知されなかったりしたことは、消費者契約法違反になる可能性があります。

消費者契約法違反になれば、Aさんは契約を取り消して代金返還を求めることが可能です。

クーリング・オフ

実は不動産契約にもクーリング・オフが適用されます。

ただしクーリング・オフできるのは、Aさんの自宅やホテルラウンジなど「不動産会社の事業所以外の場所」で契約した場合です。

またクーリング・オフできるのは「契約書面を交付されてから8日間」に限定され「代金支払や引き渡しが終わっていないこと」も要件とされます。

Aさんの場合、すでにクーリング・オフはできません。

詐欺取消、損害賠償

不動産会社の説明には虚偽が含まれており、Aさんは「だまされた」と言えなくもありません。虚偽説明を信じて契約してしまった場合、詐欺取消ができます。

しかし、現実には取消しが困難?

ではAさんは消費者契約法違反、詐欺取消を主張して代金返還を求められるのでしょうか?

現実的には難しいでしょう。なぜなら「だまされた証拠」がないからです。不動産会社から虚偽説明を受けた事実について、録音や資料がなければ証明できません。不動産会社が「そんな説明はしていない」と反論すると、Aさんが裁判を起こしても負けてしまうでしょう。

結局はきっちり調べられなかったAさんの「自己責任」になってしまう可能性が高いのです。