国民年金基金にiDeCo、老後対策は現状でもかなり優秀

不安を取り除くためには、現状を把握することが大切です。

ちか子さんは、3年前の37歳まで会社員をされていましたが、現在は個人事業主です。ちか子さんは、会社員から個人事業主に変わって、何が足りなくなったのでしょうか。

会社員の時は第二号被保険者で、国民年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)の両方の加入者していました。ところが、現在は個人事業主で、第一号被保険者となり、国民年金の加入者となりました。ちか子さんは、厚生年金部分を補填するために国民年金基金(第一号被保険者にとっての2階部分)に加入されているわけです。国民年金基金で毎月約3万円積立をされ、さらにiDeCoで毎月2万円積立をされています。

節税もしながら、将来の貯蓄をされていて、現状もとても素晴らしいです。自信を持ってくださいね。ここからは、まず今の資産形成をより有利にしていくアドバイスをできればと思います。

預金でお金を眠らせておくのはもったいない! 投資信託へのシフトを

金融でいうポートフォリオとは、資産を殖やしていくための資産の組み合わせのことです。お金を殖やす鉄則として、「長期・積立・分散」というものがあります。目標達成のために現状よりも、より「長期・積立・分散」の効いた資産運用をしていくことを考えていきましょう。

まずは銀行預金の貯蓄分。個人資産を700万円と決めても、いざというときの防衛資金として200万円を出し入れしやすいよう、定期預金に入れておくといいでしょう。そして、残りの500万円に働いてもらう(=投資)ことを考えてみましょう。

投資するのならば、投資信託がおすすめ。500万円を分散投資するために、例えば、国内債券ファンド100万円、国内株式インデックスファンド100万円、世界株式インデックスファンド100万円、世界債権ファンド200万円と振り分けてはいかがでしょうか。株・債券と資産クラスの異なる投資対象×海外・国内と分散の効いた投資が実現します。

次は国民年金基金・iDeCoです。

国民年金基金

ちか子さんの加入している国民年金基金は終身で受け取れるものですから、良い選択です。しかし、国民年金基金は運用商品を自分で選ぶことはできないというネックもあります。しかも、国民年金基金は一度入ったら、第二号被保険者にならないとやめられません。

よって、口数を減らし、毎月の掛金を減らすことを考えます。国民年金基金は加入した年齢で1口当たりの金額が変わります。ちか子さんは37歳の時から始め、現在、終身年金A型にお入りになっていて、1口目13080円、2口目以上が4口17440円、合計で30520円の掛金で入っています。そこで2口目以降を1口に変更すれば、毎月の掛け金が17440円となります。

ちか子さんのような第一号被保険者の場合、国民年金基金とiDeCoを合わせて毎月68000円積み立てることができます。国民年金基金への掛金を減らすことで、iDeCoに拠出できるのが毎月約50000円となります。

iDeCo

iDeCoでの運用についても見直していきましょう。

繰り返しになりますが、ここでも「長期・積立・分散」が重要。iDeCoはもともと、60歳まで引き出せない、毎月決めた額を拠出するという意味で「長期・積立」が自動的に叶うシステムなので、運用商品での分散を考えます。

現在、iDeCoは定期預金で積立をしていますが、これはもったいないと言わざるをえません。定期預金の金利以上にiDeCoの手数料がかかりますので、手数料分元本割れしていると考えると、商品を投資信託に替え、リスク分散しながら資産を増やしていった方が賢明です。

すでにご説明しました預金500万円を投資信託にシフトするときに、インデックスファンドや債券ファンドを選んでいるので、iDeCoではよりリスクを取りながら利益を追求する、アクティブファンドにされるのもいいでしょう。

ここまでをまとめますと、

1.銀行預金500万円をインデックスファンド投資にシフトし、堅実に殖やす
2.口数は減らすものの、国民年金基金で確実に安定的に殖やす
3.iDeCoの拠出額を増やし、さらにアクティブファンドで攻めの分散投資をしてみる

という方針です。

iDeCoだけを見ても、元本は1200万円(5万円×240カ月)貯めることができます。年利3%の運用で約1612万円、5%の運用で約1984万円となります。そこに、預金の200万円とインデックスファンドで運用する500万円+αのお金を合わせれば、2000万円という目標金額を上回ってくることがわかります。