資産形成に踏み出す前に知っておいてほしい「社会保険」を活用するということ

恵美さんは、育児休業は取らずに退職をされました。きっとご理由はおありでしょうが、小さな子どもを抱えての生活は想像以上に大変です。

(最初から、たられば話となって恐縮ですが……)もし、退職せず育児休業を取っていれば、休業中に育児休業給付金が支給されたのです。

産休後6ヶ月間まで67%、以降1歳になるまで50%支給されます。元の給料の半分であっても、“働けなくても収入がある”というのは心強いことです。保育園に入所できない場合など一定の理由がある場合、最長2歳まで延長ができます。

しかも、給付金には課税されませんし、社会保険料の支払いもありません。支払わなくても健康保険証は使えますし、休業中も休業前と同額の年金保険料を払っていることとされて将来の年金に反映されます(いわゆる、免除というものです)。

今、少なくとも和子さんはお悩みを抱えている状況にあり、こうした社会保険について「調べて、活用する」という意識があれば状況はいくぶん良かった可能性があります。これからはぜひ社会保険を“活用する”意識を持っていただけるといいと思います。

さて、現状でどのような支援を受けることができるでしょうか? 雇用保険と児童扶養手当が考えられます。それぞれ解説していきます。

雇用保険

雇用保険の基本手当(失業給付)は、働ける状態で求職活動をしていることが条件ですし、給付金を受けられるのは、原則、離職の日から1年以内です。

しかし、妊娠や出産で引き続き30日以上働けない場合は、離職の翌日から最長4年以内まで延長することができます。

延長後の受給期間の最後の日までの間であれば申請はできますが、受給期間中に期限が来てしまうと本来もらえる給付金ももらえなくなってしまいますので、早めに申請しましょう。

児童扶養手当

ひとり親の場合、児童手当に加えて児童扶養手当も受けられます。

令和2年分は一人目の全部支給43160円、一部支給:43150円~10180円ですが、所得により制限があります。

例えば、前年度の扶養親族がゼロの場合、全部支給になる所得上限は49万円、一部支給になる所得上限は192万円です。

しかし、たとえ恵美さんの所得が制限内であったとしても、同居の扶養義務者(もっとも所得がある人)の所得が236万円超の場合は支給停止になります。同居の場合、世帯分離していても、実際に別生計でないと世帯分離とされず、保育料も合算されて判定されます。

世帯分離とされる要件や、分離したことにより受ける影響についは、お住まいの市区町村にお問い合わせ下さい。

また、児童扶養手当を受けられる場合は、ひとり親家庭等医療費助成制度の対象になります。通常の子ども医療費助成制度は、子どもの自己負担分が助成されますが、ひとり親家庭等医療費助成制度は、親の自己負担分も助成されます。児童が18歳の3月31日までの期間で支援を受けられます。

その他、ひとり親を対象にした支援や低所得者に対する支援、国民健康保険料や国民年金保険料の減免や免除について、お住まいの市区町村に相談されると良いでしょう。