テスラの時価総額がトヨタを抜いた理由

革新的ビジネスモデルであるが、市場もテスラを受け入れている。

2020年7月、テスラの資産価値は時価総額約41兆円に達した。これにより、それまで長らく不動の業界トップであったトヨタを追い抜き、時価総額で世界首位の自動車メーカーという快挙を達成したのだ。

2020年の年間販売台数も、約50万台を記録。前年から36%増加した。とはいえ、まだまだ生産規模や販路の整備は、歴史ある自動車メーカーに及ばないのも事実。例えば、トヨタの2020年の販売台数は950万台と、テスラの約20倍もの数字だ。

販売数で劣るにもかかわらず、なぜテスラの時価総額はトヨタを抜いたのか。

それは、現在の企業価値だけでなく、将来への期待も踏まえて株価に反映されているためだ。時価総額は「株価×発行済株式数」で表される。株価が上昇すれば、自然と時価総額も大きくなるのだ。

テスラが掲げる事業の目的は「持続可能なエネルギーへ、世界の移行を加速する」。この目的を達成するため、自動車の開発は必須ではない。

実際、2015年には太陽光発電による家庭用蓄電池「パワーウォール」の販売を米国で開始。単なる電気自動車メーカーではないことを示している。

投資家もテスラを単なる自動車メーカーの1社として捉えていない。テスラが持続可能な社会の実現を後押ししてくれることに、期待しているのだ。これまでの自動車メーカーにとどまらない動きを見れば、投資家たちが期待せずにいられない気持ちも理解できる。