退職する場合、保険に入る意味はある

1人で暮らしていると、自分が働けなくなって収入がなくなったらどうしようと、心配になりますね。入院やケガのための医療保険に入っておくべきか――というご質問に先に回答します。

鈴木さんは、現在お勤めの会社で社会保険に加入されていらっしゃいます。健康保険は、病院に掛かる時に3割負担になるだけではありません。病気やケガで働けなくなり給料が支払われなくなった場合、健康保険から傷病手当金が支給されます。給与の約3分の2程、最長で1年6カ月支給されます。

ただし、給付金を受け取っている間も社会保険料の支払いは続きます。不足分収入が3分の2になって足りない分は予め貯金や保険で準備する必要があります。

進学を機に退職する場合は、国民健康保険加入となり傷病手当金はありません。よって、その場合は収入をカバー出来る金額が必要になるので、保険も考えると良いでしょう。

万が一、障害を負ってしまった場合も、障害1級・2級に該当した場合、国民年金から障害基礎年金を受け取れます。また、会社員で厚生年金に加入している時に初診日があれば、障害厚生年金を受け取れます。障害厚生年金は、加入期間が300月未満でも、300月加入したと見なし、障害厚生年金を算出します。保険を考える前に、公的保険での保障を把握しておきましょう。

では、本題の学び直しに入っていきましょう。

一にも二にも、「学び直し」費用の確認から始めて

大学入学時は、学費や下宿代を親御さんに払っていただいていたかもしれませんが、今回は全て自分で支払わなければなりませんね。まず、進学予定の大学はどのくらい必要になるか調べておきましょう。

ご参考までに、文部科学省による平成30年度の初年度学生納付金の調査では、私立大学大学院博士前期課程104万円、博士後期課程86万円、専門職学位課程139万円が平均となっています。これは平成30年度の平均で、令和2年度では約75万円~120万円と、大学、研究により異なります。また、学部・修士課程とも異なります。国立大学の場合、年間約54万円(法科は約80万円)になります。

他に入学金、検定料合わせて30万円を見ておきますと、博士課程3年間で私立大学は約260万円~390万円、国立大学は約200万円を想定しておきましょう。

そして、今の会社に在籍しつつ通うことができれば生活費の問題はありませんが、退職しなければならない場合や、時短になる場合、収入をどうするかも問題になります。

鈴木さんは、早くて1年後、遅くても5年以内に学び直しを考えているとのこと。月3万円の貯金×12ヶ月とボーナス60万円で、1年間で96万円、5年後の場合で480万円の資金が準備出来ます。現在の貯金と合わせて1年後は約230万円、5年後は620万円になります。

5年後はともかく、1年後の進学の場合、学費や生活費の不足分をどうするかが問題ですが、大学院生であるから受けられる様々な経済的支援があります。

フェローシップ(博士課程)、ティーチング・アシスタント、リサーチ・アシスタントなどです。授業料の免除や減免、日本学生支援機構の奨学金や大学独自の奨学金の他、地域の企業からの支援がある場合もあります。進学予定の大学でそうした支援の条件や、受けられる金額を調べておきましょう。