争続になりやすいケース1 相続財産に占める不動産の割合が高い

では、具体的にどんな状況だと争続が発生するリスクが高いのでしょうか? 争続の原因は多々ありますが、まず一つ言えるのが「分割しにくい資産の割合が高い」ことです。

現預金なら相続人の頭数で割って分配することができますが、不動産だとそうはいきません。法定相続分(民法で定められた相続人の相続割合)で分割するとしたら、不動産を相続した人はその分、金融資産の取り分が減ってしまうことになります。不動産の評価額のほうが金融資産よりも高い場合は、金融資産が受け取れないどころか、不足分をほかの相続人に現金で払えということにもなりかねません(専門用語でこれを「代償分割」と言います)。

例えば、都会暮らしの相続人が、長男だからという理由で住む予定もない田舎の実家を相続したとします。以降は実家の固定資産税を払わなければならず定期的なメンテナンスも必要で正直頭が痛いのに、金融資産を独占した弟や妹から「代償金を早く払って」とせっつかれたら、「勝手なことばかり言うな!」と怒鳴りたくもなるのではないでしょうか。
日本の相続は、相続財産に占める不動産の割合が高いのが特徴です。言い換えるなら、争続のタネがあちこちに転がっているわけです。

上記のようなケースに該当しそうな場合は、親が存命のうちに親に相談して、あらかじめ実家を相続する長男を受取人にした生命保険に加入してもらい、その保険金を代償分割や相続税の支払いに充てるといった対策を立てておく必要があります。