退職日で数十万円の差! 「自己都合退職」扱いになると給付が遅くなる
通常の失業給付は最低でも基本手当日額の「90日分」が担保されているのに対し、高年齢求職者給付金は最長で「50日分」しかもらえません。仮に、被保険者期間が44年、基本手当日額が5000円だったとすると、通常の失業給付の総支給額は5000円×150日=75万円ですが、高年齢求職者給付金は5000円×50日=25万円。わずか数日の退職日の違いで、50万円もの差が付いてしまうのです。
つまり、雇用保険からの失業給付を有利に受け取るためには、「64歳11カ月(誕生日の前々日まで)」での退職が望ましいわけです。
ただし、会社によっては就業規則などで満65歳の誕生日が退職日と決められていることもあるかもしれません。その場合、誕生日の前々日での退職は「自己都合退職」扱いとなり、失業給付には給付制限がかかります。結果として、実際に受け取る時期が遅くなってしまうので注意が必要です。
給付金を手にするためなら、煩雑な手続きも乗り越えよう
失業給付は本来“求職者のための制度”であって、求職中の生活支援の目的で支給されるものです。よって、給付金を手にするまでの手続きはそれなりに厄介になることを覚悟しておく必要があります。
まずは、住所地を管轄するハローワークで求職申し込みを行い、退職時に会社から発行された「雇用保険被保険者離職票」などの必要書類を提出します。不備がなければ受給資格が決定し、「雇用保険受給者初回説明会」の日時を案内されます。
説明会は7日間の待機期間を経た後に開かれ、そこで指示された「第1回失業認定日」まで各自、求職活動を行うことになっています。そして認定日には「失業認定報告書」を提出し、問題がなければ1週間以内に給付金が指定の口座に振り込まれるというフローです。
認定日は原則として4週間に1度設定され、その都度、ハローワークまで足を運ばなければなりません。さらに、再就職の意思があり、既定の回数の求職活動を行ったことを、認定日のたびに申告する必要があります(求職の意思は、ハローワークの指定する就職支援セミナーを受講したり、会社説明会&面接会などに出席したりすることでも示すことができます)。
“退職金のおまけ”をもらうような軽い気持ちでハローワークに出向くと、手続きの煩雑さにびっくりするかもしれません。しかし、数十万円の収入を得るためですから、腰を据えてしっかり手続きを行いましょう。