高収入の50代こそ活用したいiDeCoの節税メリット

さらに、こちらがより重要なのですが、50代にとってのiDeCoの利用価値は、こうした時間的な問題とは別のところにあると考えます。

iDeCoの大きなメリットの1つが、掛け金が全額、所得から控除されることです。より詳しく言うと、1年間に積み立てた掛け金の合計額が「小規模企業共済等掛金控除」としてその人の年間所得から差し引かれ、その分、所得税や住民税の負担が軽減されるのです。

現在50代前半の方の多くは、サラリーマン人生を通じての給与収入のピークを迎えています。日本の税制は累進課税方式を採用しているため、給与収入が上がれば、その分税率も高くなります。ちなみに、現行の所得税率は、給与収入800万円の人(課税所得約450万円)が20%、1200万円の人(課税所得約780万円)が23%、2000万円の人(課税所得約1470万円)が33%です。

仮に給与収入800万円のサラリーマンがiDeCoに加入し、毎月2万円を拠出したとすると、年間の拠出額は24万円となり、所得税率20%、住民税率10%で計算すると、1年につき72000円の税負担が軽減されることになります。拠出期間が10年間だとしても、70万円を超える節税効果が得られるわけです。

近年の税制改正における増税のターゲットは中高所得のサラリーマンです。給与所得者の収入はガラス張りですから、何も手を打たなければ、高い税金を“取られっぱなし”になってしまいます。

「iDeCoの利用は50代からでは間に合わない」のではなく、むしろ給与水準の高い50代こそ、iDeCoをうまく節税に結び付けたいところです。