1500万円もの貯蓄は家計管理の賜物! でも預金だけではお金は育たない

大村さん夫婦は、結婚して15年目。共働きでお子様のご予定なく、いわゆるDINKS世帯です。大村さんご自身は公務員、奥様は外資系メーカー勤務ということで、高収入で家計にはゆとりがあります。

そんなご夫婦の家計では、余裕があるからこその油断から、支出が多くなりすぎで貯蓄ができていないことも少なくありません。しかし、大村さん夫婦は「身の丈に合った」という信条をお持ちということもあり、堅実な家計を実現できています。すでに1500万円もの預貯金を蓄えているのは、ご夫婦で力を合わせて家計管理をしている賜物でしょう。

ただ、預貯金だけではお金は増えていきません。長引く低金利の影響で、メガバンクは定期預金でも金利は年利0.002%(2020年10月現在、税引き前)。これは、100万円を1年預けても利息は20円ということです。元本割れのリスクはありませんが、これではせっかくの資産が生かせません。大村さんご自身で感じられているとおり、そろそろ「つみたてNISA」など制度を活用しながら、投資信託といった投資性のある金融商品も視野に入れたいところです。

まずは、初心者向け積立投資の制度「つみたてNISA」から検討してみよう

つみたてNISAは、2018年に始まった、初心者向けの積立投資の制度です。定期的に一定の資金を積み立てて、投資信託などで運用をします。つみたてNISAの口座は証券会社などで開設できますが、ネット証券を中心に来店不要で口座が作れるところが増えています。

仕事や趣味で忙しくても時間や場所を選ばずに手続きできるので、積極的に利用したいサービスですね。投資をして運用益が出た場合、通常であれば20.315%の所得税が差し引かれますが、つみたてNISAは非課税で運用できる点が大きなメリット。

しかも、つみたてNISAで選べる投資信託は、金融庁の基準を満たしたものだけです。金融庁の基準には、投資初心者が安心して投資をスタートできるよう、次のような条件があります。

1.販売手数料がゼロ(ノーロード)
2.信託報酬が安い(国内インデックスファンドで年0.5%以下など)
3.毎月分配型ではない
 

ただし、投資できるのは年間40万円まで。1カ月あたり約3万3000円です。つみたてNISAの非課税期間は20年ですが、1カ月3万3000円を20年積み立てると、元本は792万円。年利3%で運用できたとすると、20年後には利益が約291万円です。すべて売却して現金化する場合、つみたてNISAなら利益に対して非課税ですから、1083万円がまるまる受け取れます(元本792万円+運用益約291万円=合計約1083万円)。

しかし、つみたてNISAでなければ運用益に20.315%の税金がかかるので、約59万円も差し引かれることになります。つみたてNISAは、一人1口座しか開設できませんので、夫婦それぞれで口座を持ってもいいでしょう。今、預貯金に14万5000円を回していますが、二人分ならそのうちの6万6000円まで、つみたてNISAにすることができます。

いきなり毎月6万6000円を投資に回すのに抵抗があるなら、まずは月1万円から始めてもいいですね。投資に慣れてきたら投資額を増額できますし、現金が必要になったらいつでも止めることもできます。

預金に回す14万5000円からつみたてNISAでの投資用にいくらか振り分けるのは、価値のある第一歩と言えます。今から始めれば20年後は60歳。まとまった資金があれば、ゆとりのある老後の生活設計が描けます。つみたてNISAは途中で取り崩したり、積立を休止することもできます。