個人年金保険は必要かどうかをよく考えてみて

まずは個人年金保険の特徴を確認したいと思います。個人年金保険は、老後に所定の額の年金を受け取ることができる保険です。

<個人年金保険の主な特徴>
・契約時に定めた年齢から年金が受け取れる
・年金が受け取れる期間は、期間が決まっているものや、一生涯受け取れるものなどがある
・年金受取前に死亡すると、払込相当額程度の死亡保険金が受け取れる

人生100年時代と言われている中で、たとえ20代であっても老後に備えておくことは必要な時代になってきました。個人年金保険は基本的に元本割れのない商品であるため、確実な老後資金を形成するには安心できる商品です。一方、個人年金保険は既に金利が約束されている、いわば固定金利の商品です。固定金利の商品ということは、今後、世の中の物価が上昇し金利が上がったとしても、個人年金保険の金利は上がることがないことを意味しています。

現在20代の渡辺さんは、老後まで40年近くあります。その間、日本経済は成長し、情勢が大きく変化することもあるでしょう。そんな中で固定金利の商品にお金を託すのはもったいない気がします。

一方、渡辺さんは企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入されているそうですが、20代の渡辺さんが受け取っている収入からしても、老後資金の準備は企業型DCで十分のように思え、あえて個人年金保険で準備する必要性は高くないように感じます。企業型DCでしたら、仮に将来会社を退職したとしても、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)へ移管が可能です。iDeCoなら税金の優遇を受けながら長期的な資産形成ができます。そのため、まずは老後資金については企業型DCを活用することを第一に考えてみてはどうでしょうか。

そこで企業型DCについて一つご提案があります。渡辺さんの運用は、定期預金に3割、海外株式の投資信託に7割という商品構成となっているようですが、より積極的な運用を行えば増やせるチャンスも十分あります。例えば定期預金をやめて、その分をインデックス型国内株式の投資信託で運用する、というのも増やすチャンスを作る上での1つのポイントです。

個人年金保険に話を戻すと、個人年金保険はご両親が渡辺さんのことを考えて勧められた保険だと思います。続けるかどうかはお一人で決めるのではなく、ご両親と相談した上で決めるとよいのではないでしょうか。