バフェットの強気の背景にある米国の根幹への信頼

4.バフェットは米国の将来に超強気

「Never bet against America(「米国は駄目だ」のほうへは賭けるな)」。世界最高の投資家といわれるウォーレン・バフェットの、自身が会長兼CEOを務めるバークシャー・ハサウェイの今年の株主総会におけるこの発言は象徴的である。

バークシャー・ハサウェイのネット株主総会画面より(尾藤氏撮影)

バフェットは、米国が建国からわずか230年余にすぎない大変若い国であることを強調する。そして、これまで独立戦争、南北戦争、大恐慌、2つの大戦、1987年のブラックマンデー、9.11同時多発テロ、リーマン・ショックなど幾多の困難に遭ってきたが、すべてに打ち勝ってきて、それは今回のパンデミックも同様だという。さらに「米国への追い風は止まっていない。この国への追い風は驚異的だ」と続けたが、これだけ母国に強気なのは、米国の建国の精神、優れた経済システム、チャレンジ精神あふれる国民性、実力が正しく評価される仕組み、正義を重んじる法体系など、米国という国の根幹に関わるところに根差しているように感じられる。

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米国株はこれからも上がり続けるだろう。過去50年のS&P500の上昇率は年率7.4%。今年のS&P500の上昇率は7月末時点でまだ1%にとどまっているが、FRBがゼロ金利政策と大量の資金を供給する量的緩和政策を当面継続することが市場のコンセンサスとなっており、コロナ禍における底支え役となっている。今年終盤から来年にかけてコロナ・ワクチンが登場し、感染収束の兆候が見えるようになれば、超緩和政策と相まって市場は一段高となり、さらに力強い相場展開となろう。