まずはFundsの基本的な仕組みから見ていこう。

Fundsを一言でいうと、お金を運用したい人と、銀行から借りるなどの方法以外で資金調達を行いたい企業を結ぶサービスだ。個人投資家は企業が資金調達のために組成したファンドに、1円単位で投資できる。ネット上で「高利回りで投資をしたい人」と「融資を受けたい企業」をつなぐソーシャルレンディングと、仕組みは一緒だ。

投資先を上場企業に絞ることで安定的な運用を可能に

ただ、一般的なソーシャルレンディングは中小・零細企業を借り手の対象とし、銀行からの借入が難しいケースで利用されることが多い。利回りは高めに設定されているが、一方でリスクの高い投資先も含まれている。借り手となる企業を個人が調べることも簡単ではなく、投資に慣れた玄人が利用する印象が強い。

「一方で、私たちは借り手の対象を上場企業に絞っていて、投資の初心者であっても参加しやすい仕組みを提供しています」と語るのは、ファンズの創業者で代表取締役を務める藤田雄一郎氏だ。

ファンズ 代表取締役・藤田 雄一郎氏

「上場企業であれば、公式サイトなどで財務状況が公開されているため、個人でも簡単に閲覧可能です。ソーシャルレンディングを提供するほかのサービスと比べると利回りは3%程度で相対的に低いものの、その分、安定的な運用が可能となります」。

企業が倒産しない限り元本と利回りは確保される

最近では投資信託や年金保険などの金融商品のみならず、ロボアドバイザーやスマホから少額で投資できるサービスなども続々と登場している。これら金融商品やサービスとの違いは何なのか。

「一番の違いは『株式相場の影響を受けない』『企業が倒産しない限り利子を上乗せした元本が戻ってくる』ことなどが挙げられます」。

例えば投資信託であれば、基準価額が毎日変動する。自分のお金が減ったり増えたりするため、抵抗感を持つ人も一定数いるだろう。しかし、Fundsが提供する商品(=ファンド)には値動きがない。

また投資信託の場合、購入した時点では利回り何%で運用できるのか、完全には予測できない。一方でFundsでは「リコースローン」という仕組みを採用しており、投資先の企業が倒産しない限り元本に当初予定された利回りが加わって戻ってくる。借り手企業が事業で想定したリターンを得られない場合でも、倒産などで返済不能になる場合を除き、投資家の元本と利回りは確保されるわけだ。ソーシャルレンディングの中には事業の成果によって投資したお金が戻らないケースもあるが、Fundsはあくまでも返済を前提とし、リスクを低く抑えている。

「忙しい現役世代の人がチャートの動きなどを見て投資を行うとなると、時間を取られてしまいます。それに対してFundsで購入できる商品は価格の変動がないため、運用中は基本的にほったらかしでも問題ありません」。

リバランスや売買のタイミングを気にする必要もない。投資初心者と経験者が同じタイミングで投資を始めても、利回りはあらかじめ決まっているため1年後の成果は変わらない。

また当然だが、ファンズの社内でもファンドを組成できる企業は独自の審査で絞り込んでいる。

「ファンドの期間が1年であれば、1年後にその会社がどれくらいのキャッシュを持っていて、仮に今回のコロナショックのような経済が悪化する状況においても生き残っていけるのか、私たちなりに分析しています。そして社内メンバーで問題ないと判断した場合にのみFundsに掲載し、資金を募集します」。

ファンズ社内では元バンカーや元株式アナリスト、公認会計士、弁護士などで構成された専門の部門が、企業やファンドの審査を独自に行っている。ファンズ社内ですでに絞り込まれた企業、ファンドから投資先を選ぶことができる。