確定拠出年金(DC)は相次ぐ制度改正が行われ、以前とは比べ物にならないほど複雑になりました。そのためさまざまな情報が提供されており、「何かしないといけないのかな?」と不安になる人もいるかもしれません。そこで今回は「放置していいコト」と「放置してはいけないコト」について考えてみましょう。なお、これまでのところ、DCに初めて加入した後に分散投資を実践し、「放置」していた人の運用結果は、運用見直しを頻繁に行った人と比較すると良好だったようです。ただし、過去の運用結果が良かったからといって、将来の成果も保証されるものではありません。特に気を付けたいライフステージが変わったときの考え方や注意点について、運用面と手続き面からみてみましょう。

〈DC運用に特有の決まりごと〉

DC運用は税の優遇が大きいこともあり、通常の資産運用よりも自由度が低い面があります。まずは、DC運用に特有の決まりごとを確認しましょう。その範囲を超えた変更はできないためです。

①運用商品が限定的
現在、日本で購入できる投資信託は5,800本を超えますが、DCで活用できるのは多くても35本です。規約(プラン)ごとに提供可能な運用商品の上限が定められており、現在の法令では35本となっているためです。また、レバレッジをかけるような運用商品やオプション商品もないため、基本的には、「購入して売却する」というシンプルな運用となります。

②現金化ができない(60歳前の給付不可)
60歳前に企業型DCの資格を喪失(60歳前に退職)すると、いったんすべて現金化されますが、そのお金を使うことはできません。企業型DCで保有していた運用商品を売却して現金化された資産は、DC制度のなかで動く仕組み(企業型DCか個人型確定拠出年金〔iDeCo〕に移す=移換)になります。たとえば転職時に、前の会社でのDC資産は売却されますが、新しい会社に企業型DCがあればそちらに、ない場合はiDeCoに移す等の必要があるということです。

③新規投資のタイミングや金額が決まっている
DCでは、好きな時に好きな金額を投資できるわけではありません。拠出上限額が設定されており、投資タイミングも毎月あらかじめ決められた日と決まっています(年単位化しているときなどは、さらに回数が限定)。

④スイッチングに時間がかかる
記録関連運営管理機関(DCの記録・管理を行う機関、レコードキーパー〔RK〕)によって呼称は異なりますが、スイッチングは既に保有している運用商品を売却して、別の運用商品を購入することを指します。DCは途中で現金化ができない仕組みのため、常に何らかの運用商品を購入しておく必要があります(定期預金や保険商品であっても「購入」)。

スイッチングは短い場合でも3営業日、長いと10営業日ほどかかりますので、機動的な資産運用には向かない制度といえます。