市況「逆回転リスク」には注意 実力ベースでの成長性も焦点に
三菱マテリアルの今期(27年3月期)は、もともと経常減益の見通しでしたが、一転して大幅増益に修正され、株価の急騰につながりました。
注目すべきは、業績の上振れがタングステンの一時的な在庫要因だけでは説明しきれない点です。超硬製品や高機能製品では、自動車・半導体関連需要の回復を受けた販売数量の増加に加え、価格適正化の効果も表れており、市況とは独立した自社努力による収益改善も進んでいます。低価格在庫の払い出し効果がはく落した後も、こうした「地力」の部分は残るとみられます。
一方で、注意すべきリスクもあります。タングステン価格は「高値圏での高止まり」を前提に据え置かれていますが、仮に相場が下落に転じれば、今度は高い価格で調達した在庫が利益を圧迫することに加え、競合メーカーも調達が安定化に向かうことで競争優位性が薄れる「逆回転」のシナリオも否定できません。今期の急拡大を、来期(28年3月期)以降へ単純に延長して見るのは禁物でしょう。
こうした市況変動リスクに対して、三菱マテリアルはリサイクル調達や自社精錬機能という構造的な強みを持ち、さらにAPT生産能力を倍増させる方針を打ち出すなど、収益基盤の底上げにも動いています。
市況の追い風が今後どこまで続くか、そして一時要因が剥落した後の実力がどの水準に落ち着くのか。この2点が、三菱マテリアルの株価を占ううえでの焦点になりそうです。
