塾代を捻出するため、家族全員で弁当と水筒を持参

そのような経緯で娘は塾に通い始め、やる気を持って一生懸命勉強に取り組むように。一方、佳子さんはまず銀行口座とクレジットカードの明細を数か月分並べ、何にいくら使っているかを徹底的に洗い出しました。そこで驚いたのが、コンビニ、外食、夫婦それぞれのお店での昼食代など、「なんとなく使っていたお金」の多さです。

1回の金額は数百円、数千円でも、家族3人分が積み重なると月に数万円になります。一家が決めた合言葉は、「全員、自炊と水筒」でした。

一郎さんは会社へ弁当と水筒を持参。佳子さんもパート先で飲み物を買わず、家から持っていきます。娘の「塾弁」は手作りメインに。日々のおやつやペットボトルも、娘に数百円渡して自分で買わせていましたが、佳子さんが作ったものにすることで、「ちりつも出費」を回避します。週末のなんとなくのファストフードやファミレス外食はやめ、出かけるときもおにぎりを用意しました。

「食費そのものを極端に削ると、受験生の体調にも響きます。だから食材はきちんと買う。その代わり、“安易に外で買わない”を徹底しました」

塾は20時まであり、途中に15分ほど飲食OKの休憩がはさまれます。気分転換と栄養補給で、できるだけ温かいものを食べてほしい。そう考えた佳子さんは節約も兼ねて、塾の休憩時間に合わせて保温容器に入れたスープや丼物を自転車で届けました。

洋服や参考書は、まずメルカリで探します。サイズアウトした服や使い終わった教材も出品し、その売上金で次に必要なものを買います。家族旅行は控え、休日は公園や図書館へ。車も買い替えず、乗り続けました。

それを知った義理の母からは、とても驚かれたそうです。

「そこまでして私立に行かせるの? 公立でいいじゃない。あの子は、節約、節約と目くじらを立てるような稼ぎじゃないと思うけれど……」

田舎で暮らしている義理の母からすれば、世帯年収が700万円もあってその節約ぶりに驚いたということでしょう。しかし、首都圏で子育てをしていれば、決して一郎さんと佳子さんが抱いた危機感は他人事ではないはずです。

佳子さん自身、何度も同じことを自問しました。けれど娘が塾から帰宅し、楽しそうに習ったことを話す姿を見るたび、「今は家族でやってみよう」と思えたといいます。

●ところが、塾代を捻出しても、娘の成績は思うように伸びません。後編【大手塾だけで娘が私立中学合格も…「申し込んじゃだめだよね?」100万円の短期留学に言葉を失った夫婦が決めた「わが家の線引き」】で、一家が選んだ道に迫ります。

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