「短期留学、申し込んじゃだめだよね?」

私立中学へ進学した娘からそう聞かれたとき、佳子さん(仮名・43歳)は、学校から届いた案内をもう一度見返しました。

学校が主催する、夏休みに行われる海外短期留学。期間は2週間ほどで、費用は100万円近く。もちろん全員参加必須ではありません。しかし娘の話では、クラスの半数ほどが申し込むというのです。しかも聞けば、部活のコンクールや試合さえなければさらに多くの生徒が申し込んだはずだとか。

「100万円ですよ。わが家にとっては簡単に出せる金額ではありません。でも娘は、みんなが行くような口ぶりで聞いてくる。私立の伝統のある女子校に入学して、住んでいる世界が違うご家庭がこんなに多いんだ、と実感しました」

佳子さん一家は、埼玉県のベッドタウンに暮らす3人家族です。夫の一郎さん(仮名・45歳)は会社員で年収約600万円。佳子さんはパートで年収は約100万円。世帯年収は約700万円です。

十数年前に購入した戸建ての住宅ローンは月10万円。都内の住宅費に比べれば抑えられていますが、最寄り駅から少し離れているため車は手放せません。

「もちろん、生活に困窮しているわけではありません。ありがたいことだと思います。でも子育てが始まってからは正直、余裕があると感じたことはありませんでした」と佳子さん。

そんなご家庭が、ひとり娘の中学受験を決意。その等身大のお話を伺います。