大型連休や年末年始、親戚一同が集まる時間を楽しみにしている人は多いでしょう。しかし、子どものしつけやマナーに対する考え方は家庭によって異なり、ちょっとした価値観のズレがモヤモヤを生むことも少なくありません。「身内だから」と我慢を重ねた結果、思いもよらないトラブルに発展してしまうこともあります。

姪のわがままと割りを食う娘たち

「莉央ちゃん、人のスマホ勝手に触ったらダメだよ」

会社員の佐藤和樹(43歳)は、姪の莉央(8歳)から苦笑いを浮かべてスマートフォンを取り戻した。和樹は妻の恵(41歳)と、小学6年生の娘・あおい、小学4年生の娘・かえでの4人で暮らしている。世帯年収は約850万円、貯金額は1200万円ほどで、娘たちの教育資金を蓄えながら穏やかな日々を送っていた。

しかし、秋のシルバーウィークに恵の実家へ帰省する期間だけは、和樹の心が休まることはなかった。

実家には恵の妹である美香(36歳)と、小学2年生の莉央もやってくる。美香の夫である健太(38歳)は仕事で後から合流する予定だったが、問題は美香の子育てだった。美香は莉央を「のびのび育てる」という名目のもと、完全に放任していたのだ。

あおいとかえでは優しい性格で、年下の莉央を「小さい妹だから」とかわいがり、わがままにも嫌な顔をせず付き合っていた。しかし莉央はその優しさに乗じ、あおいが大切にしていたアニメグッズを勝手に持っていったり、かえでの持ち物を乱暴に扱ったりとやりたい放題だった。一方で莉央が持っているレジンで作った大量のアクセサリーやスマホは見せびらかすばかりで、絶対に触らせず、いじわるく自慢するばかりだった。そんないとこに対して、娘2人はいつも割りを食っていたが、文句ひとつ言わずに耐えていたのだ。

恵や和樹がちょっと注意しても美香は「子どもがやったことなんだから堅いこと言わないでよ!」と笑うだけだった。

 

事件が起きたのは、帰省3日目の午後だった。

長女のあおいは、小学校の成績がよかったご褒美として和樹から買ってもらった学習・ゲーム用タブレットを大切に使っていた。日々の学習でもらえるポイントをコツコツ貯めて、限定コンテンツを追加することを楽しみにプレイしていたのだ。

ところが、莉央があおいの手から強引にタブレットを奪い取り、「私もこれで遊ぶの!」と言って奥の部屋へ走っていってしまった。追いかけていったあおいとかえでは「少しだけだよ」「そろそろ返してね」と優しく声をかけたが、莉央は聞く耳をもたず、タブレットに夢中になっていた。