政策金利1.5%に達した後は慎重スタンスに

今年12月か来年1月に利上げを行うとすれば、政策金利は1.5%になりますが、その先を考える上でポイントになるのが中立金利です。中立金利とは景気に引き締め的でも緩和的でもない金利のことですが、現在、日銀は市場とのコミュニケーション上、緩いコンセンサスとして「1.1%~2.5%のどこか」(自然利子率が-0.9%~0.5%)という見方を共有しています。

政策金利が1.5%になれば、その推計範囲の下限を明確に上回り、次の利上げで推計範囲の中間(1.8%)にほぼ到達する水準となります。ただ、そもそも中立金利は数値を特定するのが難しい概念上の金利であり、近づいたと判断された段階で、実際の経済・物価・金融市場の反応を見ながら慎重に見極めていくというのが金融政策運営のセオリーです。

つまり、政策金利を1.5%まで引き上げた後は利上げペース緩め、というより、これまでのようにペースを決めず、状況を見定めながら必要に応じて利上げするという慎重なスタンスに移行する可能性が高いと見込まれます。

したがって、今年12月か来年1月に1.5%に利上げした後は、データ次第でいつでも利上げできるようなコミュニケーションをとっておく必要があります。

すでに公表されている2027年のMPMの日程は図表4(下記)に示したとおりですが、3月17~18日、4月27~28日、6月10~11日に加え、高田審議委員と田村審議委員の退任日である7月23日の直前にセットされた7月21~22日のMPMまで、都合4回のMPMはいずれも1.75%への利上げタイミングの候補になり得ると見ておくべきでしょう。

<図表4 2027年の金融政策決定会合の日程>

出所:日本銀行、楽天証券経済研究所作成

 

いずれにせよ、政策金利を中立金利に着地させようとするタイミングでは、「物価安定の目標」が実現した可能性が高いことを、日銀として公式に認めることが必要です。

加えて、少なくとも利上げペースを早めるために使ってきた図表2のリスク文言、すなわち「2%の物価安定の目標を超えて上振れていくリスクがある」、「基調的な物価上昇率を2%程度の水準で安定させていくという観点が重要になる」は、事前に削除しておく必要があります。

ターミナルレートは1.75%

以上のことを踏まえると、政策金利を1.5%に引き上げる今年12月の声明文、あるいは来年1月の「展望レポート」で、図表2のリスク文言が削除されていれば、そろそろターミナルレート(利上げの最終到達点)が近いことを示唆していると見ることが可能です。その場合、6月か7月のMPMで1.75%への利上げが実施され、それがターミナルレートになる可能性が高いと見ています。

逆に、今年12月の声明文、あるいは来年1月の「展望レポート」で図表2のリスク文言が残っていれば、引き続き物価上振れリスクを意識した臨戦態勢が続いていることを意味し、1.75%を超える政策金利まで、複数回の利上げがあると考えておくべきでしょう。その場合、1.75%への利上げタイミングは3カ月後の来年3月か4月となり、その後も利上げが継続される可能性が高いでしょう。

筆者の現時点でのメインシナリオは前者、すなわち来年6月か7月に1.75%へ利上げされ、それがターミナルレートになるというものです。もちろん、今後の物価指標の展開によっては変わり得ますので、その都度修正していくつもりです。