妻への思いを胸に再出発
それから翔平は転職することになった。
転職先は別の広告代理店で、そこでイチからやり直そうと決めた。
出勤初日、家を出ようとすると美咲が玄関まで来てくれた。
「いってらっしゃい」
「ああ。行ってくるよ」
それ以上は何も言わず、翔平は家を出た。
玄関を出た翔平は、ふと以前美咲に「もっといい暮らしをさせてやるからな」と言ったことを思い出した。
あのときは出世に浮かれて口にした、ただの冗談だった。しかし、自分が一番苦しかったとき、そばで支え続けてくれた美咲に恩返しをするために、今は本気でいい暮らしをさせてあげたいと思っていた。あの言葉を冗談で終わらせないように、もう一度仕事を頑張ろう。
翔平はそう心に決めて、新しい職場に向かった。
※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
