失敗を受け入れられない翔平

その日の夜、翔平は帰宅してからプロジェクトリーダーから外されたことを話した。

「……え? そんなことになったの?」

玄関先で聞かされた美咲は目を丸くして驚いていた。

「うん。俺が飲み会で同期に話したことが相沢さんの耳に入ったみたいでさ」

翔平はそれだけ言うと、スーツのままリビングに向かい、ソファに座り込んだ。

「でもおかしいんだよ」

「何が?」

「あの場にいたのは同期だけだ。それなのに相沢さんの耳に入ったってことは、わざわざ誰かが言いに行ったってことだろ?」

翔平は唇を噛んだ。

「あの中に俺の足を引っ張ったヤツがいるんだ。きっと俺がリーダーになって出世コースに乗るのを邪魔しようとしたんだよ。あいつら、俺のことを祝ってるふりして……!」

「でも本当にその人たちが言ったっていう証拠はないんでしょ?」

「そうだけど……この状況だとそう思うほうが……」

美咲は翔平の横に座り、手を取った。

「だったらそんなことを考えても意味ないし、翔平がしんどくなるだけよ」

「……俺がバカだった。まだ調整中だって言われてたのに、つい同期に自慢したくなって言ってしまったんだ。黙っていればこんなことにはならなかったのに……」

自分が悪いことは百も承知だった。でも、それを受け入れるのが辛くて誰かを悪者にしようとしていた。

「失敗したことは変えられないよ。でも今回のことで翔平が今までやってきたことがすべてなくなるわけじゃない。実際に大きな仕事を任されるところまでは来てるんだから。またチャンスは絶対に来るわよ」

美咲の励ましに、翔平は返事をすることができなかった。美咲の言葉を受け入れるだけの心の余裕が翔平にはなかったのだ。