「母さんは困るだろうな」

将吾さんは年金事務所へ向かう途中、いろいろ考えてしまいました。

「父さんが亡くなったらどうなるかなんてこれまで考えたことがなかったな。まだ63歳だし、亡くなるとしてももっとずっと先のことだと思うけど、いつ亡くなるかなんて誰にも分からない。もし今父さんが亡くなったら、母さんは困るだろうな」

年金事務所の窓口で、将吾さんは質問しました。

「父・智明が今すぐ他界したら、母・恵理子に遺族年金は出ますか? 出る場合はいくら出ますか?」

すると、窓口の職員は回答しました。

「お父様が今お亡くなりになった場合ですね。でしたら、遺族年金は出ます。遺族厚生年金は年間55万円で、これに年間61万円の寡婦加算が加わり、合計年間116万円。お母様が65歳になるまで支給されます」

「お母様が65歳になられると、寡婦加算はなくなりますが、遺族厚生年金は受け取れます。また、お母様ご自身の老齢基礎年金70万円、老齢厚生年金10万円もあわせて支払われます。ただし、遺族厚生年金は、ご自身の老齢厚生年金相当の10万円を差し引いた45万円となります。合計で年間125万円になりますね」

将吾さんは恵理子さんに遺族厚生年金が支給されると知り、65歳前と65歳以降の遺族厚生年金の受給のルールも説明を受けたのでした。

これを聞いた帰宅した将吾さんは智明さんと恵理子さんに「父さんが今すぐ死んだら、母さんに遺族年金が出るんだって」と報告します。

智明さんは「おいおい、今死んだらって、今は元気に生きてるぞ。当分死ぬわけにはいかない」と言いながら、「けど、遺族年金は出るようでよかった。保険料の未納も多いからダメだと思ったから」と安心します。恵理子さんも受給額やその内訳を理解したのでした。

●実際に遺族年金は受給できるのでしょうか。後編【「たった2年の長生き」で年116万円の大損…遺族年金を受け取れなかった遺族が悔やんだ「2年前の出来事」】では、遺族年金を受給できる条件について詳しく解説します。

 

※本記事に登場する人物の名前はすべて仮名です。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。