弟一家だけが受けていた厚遇

「……あの、どうかしました?」

「ううん、ちょっと驚いただけ。私たちは一度ももらったことがないから」

「えっ?」

麗香は口に手を当てて驚いていた。

「そうなんですか? 私はてっきりお義姉さんたちにも同じように渡してるんだと思ってました……」

「……まあ普通はそう思うわよね」

「すみません、なんだか私たちばかりもらってたみたいで……」

「いや、2人は何も悪くないのよ」

「……この前もお義母さんに温泉旅行に連れて行っていただいて。なんだか私たちばかり甘えちゃってて申し訳ないです……」

麗香の言葉に伊織は衝撃を受けた。

「……え? 温泉旅行?」

「……ご存じなかったんですね」

「い、いつ?」

麗香はばつが悪そうな顔で答えた。

「この前のゴールデンウィークです。宿代も出してもらって……。申し訳ないと言ったのですが、お義父さんの生命保険とかもあるからお金のことは心配しなくていいとおっしゃってたので」

伊織はすぐに言葉を返せなかった。信吾には不安だとこぼしていたのに、義弘たちにはお金を渡したり、旅行に連れて行ったりしているというのは、いったいどういうことなのだろう。頭の中で何度考えても辻褄が合わなかった。そして少しずつ戸惑いは怒りに変わっていった。

●毎月5万円を仕送りしているにもかかわらず、義母・一恵から感謝される様子もなく、不満を募らせていた伊織。夫・信吾の弟にあたる義弘一家には現金を渡し、さらに温泉旅行の宿代まで負担していたことを知り、義母が本当に仕送りを必要としているのか疑念を抱く…… 後編【「どうせなんか吹き込まれたんでしょ?」仕送り減額に怒り心頭の母…長男夫婦が知った“お金の使い道”】にて、詳細をお伝えします。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。