義実家で感じる露骨な扱いの差
翌週、伊織たちは予定通り義実家を訪れた。玄関にはすでに何足もの靴が並んでおり、既に義弘たちが来ていることがうかがえた。
「ただいま」
信吾が声をかけるが、居間からの笑い声にかき消されてしまった。
信吾は慣れた様子で玄関を上がるので、伊織は「お邪魔します」と言って靴を脱いだ。荷物を持って居間へ向かうと、一恵と義弘家族がくつろいでいた。
「あら、帰ってきたの?」
一恵はちらりとこちらを見て少し驚いたような顔をした。
「兄さん、久しぶりだな」
「ああ」
義弘と信吾があいさつを交わしていると、義弘の妻の麗香がおもむろに立ち上がった。
「暑かったですよね? 今、麦茶を出すのでお義兄さんたちも座ってください」
すると一恵が麗香をさえぎるように声をかけた。
「あらぁ、そんなのいいのよ。そんなの自分たちでできるでしょ?」
「ああ、大丈夫だよ。とりあえず荷物を部屋に置いてくるから」
信吾の言葉に麗香はうなずき、再び座った。
荷物を置いて戻ると、義弘が最近仕事で忙しいという話をしていた。
「ちゃんと休めてるの? 無理しちゃダメよ」
一恵は心配そうに何度も尋ねるなか、麗香が信吾にも話題を振った。
「お義兄さんのところも忙しいんですか?」
「まあ、最近はちょっとな」
信吾が答えたが、一恵は特に反応せず義弘との話を続けていた。
伊織はその様子を黙って見ていた。
義弘の体調は気にするのに、信吾の話にはまるで興味を示さない。
結婚したばかりの頃は、わざと差をつけているのではないかと思っていた。しかし長く付き合ううちに、これが一恵にとってごく普通の態度なのだと分かった。信吾はいつものことだと気にしていないようだったが、伊織にはどうしても納得ができなかった。
