損をしないために、「高く売る」にはどうすればいいのか?

では、積立投資をやれば、損をしないのでしょうか? そんなことはありません。もう1つ、大切なことがあるのです。「安く買って、高く売る」の「高く売る」を考えなければならないのです。

積立投資はけっして万能ではなく、投資した資産を最終的に安い「価格」で売ってしまうと損をしてしまいます。一方、長期的には、資産の「価格」は「価値」に近づくと考えられています。ですから、長期的にみて「価値」が成長する資産に投資する、という考え方が大切です。これが、「バリュー投資」と対比して、「グロース投資」と呼ばれる投資アプローチです。

でも、長期的にみて「価値」が成長する資産を見つけるには、どうすればいいでしょうか? 資産の「価値」がわからないなら「グロース投資」はできないのでしょうか? そんなことはない、と私は思います。実は、地球全体に投資すれば、ある意味、「グロース投資」を実践していることになるのです。どういうことなのか、ご説明しましょう。

その考え方の背景には、長期的にみれば、地球全体では今後も人口が増え、経済規模も拡大する、という見通しがあります。例えば、2018年の世界人口は76億人ですが、2050年には97億人まで増えると予想されています。また、世界の経済規模を表すGDPも2023年には2018年の1.3倍になると予想されており、世界人口の増加と相まって、その後も拡大が想定されています。

そんな考え方を理解いただけるなら、投資初心者でも「グロース投資」ができますし、何に投資するのか迷うこともありません。なぜなら、少額でも世界中の株式や債券へ分散投資できる、バランス型投資信託という金融商品を1つ選ぶだけで地球全体に投資できるからです。

積立投資は「バリュー投資」と「グロース投資」の組み合わせ

結局、積立投資とは、「グロース投資」で選んだ資産を「バリュー投資」で投資する、ということになるでしょう。先ほど紹介したバフェット氏も「私の85%はグレアム、15%はフィッシャーでできている」と述べています。

グレアム氏は「バリュー投資」の名人、フィッシャー氏は「グロース投資」の達人として有名な投資家です。ですから、投資初心者も積立投資をはじめれば、バフェット氏も推奨している「バリュー投資」と「グロース投資」ができるのです。そして、長期的にみて「価値」が成長する資産を、高い「価格」で買わないことで、「安く買って、高く売る」という投資の大原則を自動的に実行することができるのです。

こんな風に考えれば、リスクを損することだと考える人も、投資の第一歩を踏み出すハードルが多少なりとも下がるのではないでしょうか。そして、こんな私のメッセージが、投資に踏み出せない人の心持ちを少しでも和らげることができれば、とても嬉しく思います。