①60歳時に「受給を開始する」
60歳以降の生活資金として利用したり、住宅ローンの返済や予定していた大きな支出に利用することが考えられます。場合によっては、投資資金としてNISAなどを利用して、DCとは違った形で運用するという方法も考えられます。受け取り方は、一時金、年金、両者併用のいずれかです。
【年金で受給する場合】
生活資金として利用する場合は、定期的にお金が振り込まれる年金の受給が便利です。給与+DC(年金)で生活をするイメージで、たとえば公的年金の受給開始までのつなぎ年金として活用するパターンです。留意点としては、DCからの受給額は公的年金等に係る雑所得として所得税等の課税対象となります。ただ、公的年金等控除があるため、金額によっては税負担を抑えられる場合があります。なお、年金の振込手数料(1回あたり数百円)やDC口座の管理手数料(年間、3,000~4,000円程度)がかかるケースが一般的です。事前に確認をしておくとよいでしょう。
【一時金で受給する場合】
まとまった資金が必要な場合や、会社からの退職一時金と同年度に受給し、退職所得控除を使い切りたい(税制優遇を最大限利用したい)場合などが考えられます。受給後はDC口座の管理が不要になり、口座の管理手数料がかからないというメリットもあります。
【併用する場合】
年金・一時金の両方に資金ニーズがある場合は、併用するという選択肢が考えられます。そのほか、公的年金等控除および退職所得控除などの税制上の優遇を最大限受けるために、併用する方法も考えられます。
受給時の税の取り扱いについては、以下のリンク先をご参照ください。
DC年金で「年金」を受給する!?~公的年金等控除の活用法(お金の、育て方コラムVol.166)
②DCで「運用を続ける(受給を繰り下げる)」
60歳以降も、すぐに受け取らず運用のみを継続する選択です。加入資格は喪失しますが、運用指図者として制度に残ることになります。掛金の拠出はなくなりますが、これまでの運用を非課税で75歳まで継続できます。もちろん、運用商品の変更、いわゆる預替えもこれまでどおり可能です。そして、資金が必要となったタイミングで受給することができます。60歳以降、とりあえず資金ニーズがなく、かつ運用を継続したいなら、手軽な方法といえるでしょう。
ただし、運用を継続する場合は、将来、いつどのように受給するかを、この時期にしっかり考えておくことが大切です。受給額の損得を計算するのではなく、お金の使い道を考えるのです。第二の人生を豊かにするためにぜひ検討しましょう。留意点としては、①の年金受給と同様、口座管理の手数料が個人の負担になる場合があります。
なお、運用を継続したい方のもう一つの選択肢として、一時金で受給して、すぐにNISAで運用を再開するというのも有力だと思います。NISAも運用益は非課税であり、取り崩し時も税金がかかりません。
ただしNISAには年間の拠出限度額がありますので、DCから受け取る一時金額によっては非課税投資枠を超え、課税口座での運用になってしまいます。また、一時金の受給時には現金化しますので、運用が一時的に中断します。
そして、最大の留意点は、NISA等での運用再開を躊躇してしまわないかということです。いったん、多額の資金が現金となって、そこから投資を再開することに、ストレスを感じる方は多いと思います。今、買うべきか、もう少し待ってからの方がよいか、などと考え出し、結局買いそびれてしまったというケースも少なくありません。その点、DCで継続運用すると、そのような心配は少ないでしょう。

