加工需要は依然として逆風
加工は、需要の最も弱い構成要素にとどまる可能性が高いです。支出が比較的堅調な地域であっても、高価格が宝飾品の数量(トン)ベースでの需要を抑制し続けています。消費者は、購入量を減らしたり、より軽量な、あるいはより投資性の高い商品を購入したりする傾向がみられます。
中国が、これまでにない大きな圧力にさらされています。ターゲットを絞った景気刺激策がある程度の下支えになる可能性がありますが、金地金・金貨への嗜好変化に加えて、最近の付加価値税(VAT)の変更が、宝飾品需要の正常化を遅らせています。ワールド ゴールド カウンシルの四半期モデルは、高価格環境への適応は徐々に進むことを示しており、仮に価格が安定ないし後退しても、需要量の回復には数四半期かかることを示唆しています。
インドは比較的底堅いものの、軽量な商品や投資商品が購入量全体に占める割合は今後も増え続けるとみられます。
テクノロジー需要は、継続的なAI関連投資から恩恵を受ける見込みですが、リスクのバランスは以前ほど良好ではありません。仮に、AI投資のリターンが期待外れであったり、より広範な電子機器市場全体のサイクルが弱まったりした場合、テクノロジー分野における金の利用が弱まる可能性があります。
中央銀行需要:戦略的な需要は強力だが、2025年の水準には届かず
中央銀行は、今年も大幅な買い越しを記録すると見込まれています。分散投資や危機時のパフォーマンス、地政学的・金融的リスクへの備えといった金を保有する戦略的な意義には依然として確たるものがあり、本第2四半期の需要回復は、ワールド ゴールド カウンシルの最新の中央銀行金準備に関する調査で示された前向きな投資意向とも整合的です。
本四半期の反発は第1四半期の修正後の需要低迷を完全に相殺するものではなかったため、年間需要は2025年の合計を下回ると予想しています。流動性ニーズや外国為替管理に関連した戦術的売却の可能性はあるものの、それらは、長期の戦略的トレンドのなかで捉えるべきものです。準備資産の管理者は今後も、金を短期的取引の対象ではなく、長期的分散投資手段として認識しています。
限定的な供給側の反応
2026年の供給は緩やかに増加する見込みです。高水準の金価格と健全な利益率によって支えられ、鉱山生産量は増加が期待されるものの、操業上の制約と新規プロジェクトの立ち上げには長い期間を要することから、増加幅は限定的とみています。
リサイクルはわずかに増加しただけで、金価格の上昇と比較すると依然低調です。下半期に、価格が一方向に大きく動いたり、経済環境が大幅に悪化するといった状況が生じたりしない限り、売却による供給の急増の可能性は低いとみられます。さらなる価格上昇への期待や、市場近辺で供給可能な在庫の不足や明らかな経済的困窮が見られないことにより、消費者は金を売却せず、保有し続けるようになります。インドにおける金を担保とした融資や、中国における古い金商品の下取りによる新しい金商品との交換も、リサイクル市場へのへの直接的な流入を減少する要因となっています。
全体として、供給は金価格上昇に反応して増加する可能性が高いものの、そのペースは緩やかなものに留まるとみています。そのため、下半期の市場見通しは、利用可能な金の急増ではなく、投資需要の強さと構成によって左右されることになるでしょう。
※レポートの続きは「ゴールド・デマンド・トレンド: 2026年第2四半期」よりご覧いただけます。
