義実家から届いた一枚の写真

正月の帰省から数週間が過ぎたある夜、夕食後の食器を片づけてリビングへ戻ると、テーブルに置いたスマートフォンが震えた。

「あ、お義父さんからメッセージ来てるよ」

ソファに座ってテレビを見ていた貴弘が反応する。

「へえ、珍しいな。何だろう」

画面を開くと、義実家とのグループチャットに尚之から写真付きのメッセージが届いていた。写真の中の尚之は、落ち着いた紺色のジャケットに袖を通し、照れくさそうに立っている。その隣では、芳美が尚之の腕に手を添え、誇らしげな笑みを浮かべていた。

美智佳は思わず頬を緩めた。

「お義父さん、嬉しそう」

「ほんとだ」

貴弘も自分のスマートフォンを開いて、画像を見ている。写真の下には、尚之からの短い文章が添えられていた。

――母さんが誕生日に買ってくれた。へそくりをずいぶん貯めていたらしい。

美智佳が苦笑すると、貴弘も声を立てて笑った。

「へそくりだって」

「母さんらしいな。2人とも楽しそうだ」

「そうね」

そのへそくりには、あの交通費も混じっていたのかもしれない。以前なら、そう考えた途端に胸がざわついただろう。だが今は、尚之も分かったうえで笑っているのだと知っている。芳美が何にお金を使い、尚之がどこまで許しているのか。それは2人の間で決めることだ。

美智佳は少し考えてから、「お義父さん、お誕生日おめでとうございます。ジャケット、とてもお似合いです」と返信した。

「父さん、次会うとき絶対その上着着てくるよ」

「うん。私もそう思う」

暖かなリビングのソファで、美智佳は貴弘と顔を見合わせて笑った。窓の外では、いつの間にか雪がちらつき、夜が静かに更けていった。

※複数の事例から着想を得たフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。