貸し借りを肯定する夫

3人での夕食が終わり、大輝が部屋に戻ったところを見計らって、佳織は翔太に声をかけた。

「なんであんな言い方をしたの?」

ソファに座ってテレビを見ていた翔太は佳織に目を向けた。

「え? 何が?」

「大輝への注意よ。あの言い方じゃ大輝だって反省しないわよ。お金の貸し借り自体は否定してないしね」

翔太はテレビを消して佳織と向き合った。

「……注意はしたし、大輝だってうなずいてたろ? それにキツく言い過ぎるのも違うよ。友達のためにお金を貸したんだし、大輝たちには大輝たちの事情があるだろう」

「そこを悪いだなんて言ってない。お金の貸し借り以外の方法で解決するように言ってほしかったのよ」

そこで翔太は腕を組んだ。

「……佳織って、そんなにお金の貸し借りにうるさかったっけ?」

「そういう問題じゃないでしょ。友達とのお金の貸し借りなんてダメに決まってる。そんなことしてトラブルになったら大変じゃない」

翔太はそこで首をひねった。

「いや、まあ、全部が全部トラブルになるわけじゃないと思うぞ。ちゃんと返ってきてる例だってあると思うし……。それに借りた側なら怒ったほうがいいと思うけど、貸した側なんだし、そこまで目くじら立てなくてもさ……」

佳織は翔太の態度に違和感を覚えた。大輝をかばって言ってると思っていたが、先ほどからこちらをチラチラと見ている態度は別の何かをかばっているように見える。

妻の勘が働いた。