新NISA残高分析

2026年5月に公表された日本証券業協会のNISA利用状況調査1によると、証券会社全社における新NISAの残高は2025年末には29.8兆円となり、2024年末の13.5兆円から2倍以上となった(図表 2)。残高の大幅増の主因は資金流入である。2024年末から2025年末でみると、買付額15.4兆円に対し売却額は4.3兆円であり、純資金流入額(買付から売却を差し引いた額)は11.1兆円と、残高増加分の約7割を占める。一方、増加分の約3割に該当する5.2兆円は市場要因(評価益等によるもの)とみることができる。引き続き、資金流入が残高増の主因ではあるものの、市場要因による増加分も無視できない大きさである。新NISA開始初年度の2024年からの2年累計で見ても、残高に占める純資金流入の比率は約8割、市場要因が約2割である。これは投じた元本(純資金流入)に対し、単純計算で約3割(2年累計)の含み益が生じていることを示しており、新NISA開始後の2年間では、良好な市場環境が投資成果を押し上げたと考えられる。

 

投資枠別の残高をみると、成長投資枠が19.6兆円、つみたて投資枠が10.2兆円である。いずれの枠でも純資金流入が残高増加の8割前後を占めている。残高の伸び率では、つみたて投資枠(+139%)が成長投資枠(+111%)を上回った。年間の投資上限が大きい成長投資枠は残高規模が大きい一方、つみたて投資枠は継続的な資金流入により伸び率が大きい。

NISAが長期にわたる資産形成をサポートする制度として改訂されたことを踏まえると、売却率は長期投資の定着率を表す重要な指標となる。新NISA全体の売却率2は2025年は14.7%と、前年の14.4%とほぼ同水準であった(図表 3)。投資枠・商品別に見ると、成長投資枠の上場株式は28.7%と高く、利益確定を含む売買が活発であったことを示している。一方、成長投資枠の投資信託やつみたて投資枠には、それぞれ7.2%、5.4%と低く、長期保有の姿勢が際立っている。ただし、つみたて投資枠におけるアクティブ投信等の売却率は11.9%と高い。これは、同分類内に値動の大きい少数銘柄のみで構成される指数に連動するファンドが含まれ、それらのファンドでの売却率が高かったためとみられる。これらのファンドは、つみたて投資枠の要件は満たすものの、投資家は長期投資用のファンドとしては見ていない可能性がある。

1 本レポート執筆時点で金融庁の利用状況調査の更新が無いため、日本証券業協会の調査結果に基づき分析を行っている。日本証券業協会の調査は、証券会社全社を対象としたものであり、新 NISA 口座の約 7 割をカバーしている(2025年 6 月末時点)。
2 新 NISA 開始後 2 年であり引き続き買付額が残高に占める割合が大きいことから、売却率は売却額÷(前年末残高+当年買付額)で求めている。