概要
日本の投資信託市場では資金流入が一段と拡大している。新NISAを中心とした継続的な資金流入に加え、好調な市場パフォーマンスも追い風となり、日本籍公募株式追加型投資信託の残高は2026年5月に200兆円を突破した。本レポートでは、新NISAの残高増加要因や口座利用状況、2026年上半期および第2四半期における投資信託市場の資金フロー、新設ファンドや資産クラス・カテゴリ別の動向をデータに基づき多角的に分析した。低コストのインデックス・ファンドへの資金集中が続く一方で、テーマ型ファンドやアロケーション型ファンドにも資金が向かうなか、投資家の長期投資や分散投資を志向する動きがどのように表れているのかを明らかにする。
主なポイント
・日本籍公募株式追加型投資信託の残高は2026年5月に200兆円を突破した。新NISAを中心とした継続的な資金流入に加え、好調な市場パフォーマンスも追い風となり、投資信託市場の規模は一段と拡大している。
・証券会社における新NISAの残高は2025年末に29.8兆円となり、2024年末の13.5兆円から2倍以上に増加した。残高増加の主因は資金流入である一方、市場要因による増加分も無視できない大きさである。
・新NISAの口座開設は広がっているものの、証券会社の新NISA口座のうち2025年中にか買付のあった稼働口座は約6割にとどまり、約4割は未稼働である。口座開設後の実際の利用促進は、引き続き重要な課題である。
・2026年上半期の日本籍公募株式追加型投資信託への純資金流入額は12兆2,600億円となり、前年同期を大きく上回った。第2四半期も5兆5,425億円と高水準を維持し、投資信託市場への資金流入は引き続き拡大している。
・資金流入の中心は引き続きNISA対象ファンドであり、低コストの株式インデックス・ファンドへの資金集中が続いている。一方で、AI、半導体、素材、新興国株式など、相場テーマや成長分野を意識したファンドにも資金が向かっている。これらのファンドへの資金流入は、低コストのインデックス・ファンドを中核に据える投資家層とは異なり、足元の相場テーマや販売会社の商品提案に反応する投資家層による資金である可能性がある。
・新設ファンドでは、テーマ性や成長分野を打ち出したファンドが大きな資金を集めた。特に、テクノロジー、素材、新興国、AIなどストーリー性を持ったファンドが、設定直後から大きな資金流入を記録した点が特徴的である。
・資産クラス別では株式型ファンドへの資金流入が圧倒的に多い一方、アロケーション型ファンドにも継続的な資金流入が見られ、分散投資を意識した動きも確認された。ただし、債券型・REIT型では資金流出が続き、分散投資の広がりにはなお濃淡がある。NISAを通じた長期投資の拡大を継続しつつ、投資家には、自身のリスク許容度に応じて、特定の商品や資産クラスに過度に偏らないポートフォリオを構築していくことが求められる。

