IPO後の売り圧力

上場時、創業者、従業員、ベンチャーキャピタル(VC)、プライベートエクイティなど既存株主に対しては一定期間のロックアップ(売却制限)が課されることが多い。その期間が終了すれば、一部の既存株主による市場での売り圧力が高まり、株価が下落する可能性がある。スペースXは株価への影響を抑えるべく細かなロックアップ解除条件を定めている。

しかしファストトラック・インクルージョンによってパッシブ資金が流入した後に、ロックアップ解除による売り圧力がかかれば、すでに指数を通じて株式を保有している投資家は影響を受ける。

評価する場所と、リスクを持つ場所が分かれる

未上場市場で巨額の評価額が形成される。VC、プライベートエクイティ、限られた投資家が資金を投じ、評価が積み上がっていく。そして上場後にファストトラック・インクルージョンが発動し指数に組み入れられ、世界中のパッシブ運用資金が機械的に買い向かう。

ここで何が起きているのか。評価が形成される場所と、リスクが最終的に保有される場所が、分離しているという見方もできる。未上場の世界で限られた投資家の間で形成された評価額の延長線上にある価格を、上場市場を通じて、広範な投資家が受け入れる構造である。 

金融市場の歴史を振り返ると、評価の形成とリスクの最終保有が分離する構造は繰り返し問題の種になってきた。もちろん、今回がただちにその一例になると言いたいわけではない。しかし、誰が評価し、誰が最終的にそのリスクを保有するのか。そして、投資家自身はその構造を理解しているのか。この問いは残る。