ファストトラック・インクルージョンとは
今回重要になるのが、MSCIのファストトラック・インクルージョン(Fast-Track Inclusion)というルールである。これは、大型IPOを通常より早く指数に組み入れる仕組みだ。通常、新規銘柄が指数に採用されるには、一定期間の取引履歴や流動性の確認が必要になる。MSCIの場合、組み入れは原則として四半期ごとの見直しで行われる。
しかし、極めて大規模なIPOについては例外がある。一定の条件を満たせば、上場から10営業日後に指数へ組み入れられる可能性がある。
なお、指数に組み入れられる際のウェイトは、名目上の時価総額だけで決まるわけではない。重要になるのは浮動株、つまり市場で実際に取引可能な株式の時価総額である。モーニングスターの報道によると、スペースXの浮動株比率は約4%とされている。それでもMSCIのファストトラック・インクルージョンの基準を満たすとみられ、未上場市場で形成されてきた評価額の延長線上で、個人投資家がその株式をオールカントリー経由で保有する可能性がある。
価格発見の途上で、パッシブ資金が買い手になる
IPO直後は、需給、投資家心理、初期の売買動向によって、一般的に株価は大きく変動しやすい。アクティブ運用の投資家であれば、企業価値や需給をみながら、売買タイミングをある程度調整できる。しかし指数に連動するパッシブファンドは、指数の中にある特定銘柄の売買タイミングを自由に選ぶのは難しい。
指数に組み入れられれば、パッシブ資金は機械的に買い向かう。その結果、ファストトラック・インクルージョンが適用される大型IPO銘柄については、上場直後で価格発見がまだ進行している段階で、価格変動リスクを引き受ける構造になりうる。
