「決別をしなければ」スマホも変えて新天地へ

退職の3カ月前から節子さんは逃げる準備を少しずつ進めていきました。

住まいは見つかるか? 仕事はどうするか? 新しい地域に溶け込めるか?

そのような不安は確かにありました。さらに弟を実家に置いていくということに罪悪感もありました。

果たして弟は一人で生活できるのだろうか? という心配も頭をかすめます。

ひとり悶々と悩む節子さんをよそに、弟は「あ~腹減ったよ。今日の飯は何? あ、あと金貸して」とのんきに言ってきます。

節子さんに依存し、自分では何も変えようとしない弟。

「やはりこの人とは決別をしなければならない」

節子さんの決心はゆるぎないものに変わっていきました。弟から何を言われても「あともう少しの辛抱」と自分に言い聞かせ、普段通りの生活を送るよう努めました。

そしていよいよその日が来ました。

「もうあなたの面倒をみることはできません。何か困ったことがあったら、役所で相談してください。どうかお元気で」

書置きを一つ残し、節子さんは姿を消しました。

新天地で生活を始めることになった節子さん。ひとり残された弟はその後どのような生活を送っているのか。今となっては知る由もありません。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。