「もうこんな生活は終わりにしよう」姉が決意したこと

筆者との面談後、節子さんは弟に障害基礎年金の説明をしました。

すると弟は顔を真っ赤にさせて大声で怒鳴りました。

「精神科? なんで俺がそんなところに行かなくちゃならないんだよ。俺はどこもおかしくない。ふざけるな!」

その後も何度か説得を重ねましたが、弟は頑なに拒否。節子さんの思いは届かず、弟は病院を受診することはありませんでした。障害基礎年金の話をした後も弟に何ら変化の兆しはありません。

働こうとしない、家事も手伝わない、その一方で金銭の要求をしてくる。

そして障害基礎年金の話をしたのが余程気に食わなかったのか、暴言が増え、壁やドアを叩くなど、節子さんへの嫌がらせのような行動をとるようになったのです。このままでは節子さんの命も危ぶまれます。

「私がいるからこの人は何もしないのかもしれない。私はこの人の母親ではない。もうこんな生活は終わりにしよう」

そう思った節子さんは大きな決断をしました。それは弟から逃げること。具体的には60歳で定年退職をした後、縁もゆかりもない土地に移り住み、そこで新たな生活を始めるというものです。

とはいえあの弟のことですから、しつこく連絡をしてくる可能性も否定できません。そこで節子さんは弟から逃げる際、スマホの番号やメールアドレスをすべて変更し、SNSも止め、弟から一切の連絡がこない状況を作り出すことにしました。