「遺族年金はダメかもな」

彰さんは自身の老齢年金のことを考えるだけでなく、自身が先に亡くなった後の志津子さんへの遺族年金についても考えていました。しかし、遺族年金の受給資格期間は10年では足りず、25年(300月)以上必要であると聞きます。

「222月じゃ300月に全然足りない。過去に保険料の未納が多かったから足りてないんだな。これだと遺族年金はダメかもな」

とりあえず、老齢年金の請求はできることになりますが、その請求書の書き方もよくわからないと思っています。65歳を迎え、年金事務所に聞きに行くことになりました。

窓口で彰さんは65歳以降の年金の額や支給日など一通りの話を聞くことができました。老齢基礎年金と老齢厚生年金として本当に受給できることを確認できて彰さんは安心しました。

しかし、ここで窓口の職員が質問した内容が、彰さんを驚かせたのでした。

「20歳以降で、夜間部や通信制以外、つまり昼間部の大学に行っていた期間はありませんか?」

彰さんは意外に思いました。

「ん? 大学が何か関係ありますか? 大学なら通っていましたよ。昼間部に。高校卒業後1年浪人して入りました。けど、ろくに勉強もせず、音楽とかバンド活動にのめり込んだせいで留年しています。在学中の成績は『優』が5個しかなかった。留年が決まった時は父親に罵倒され、母親に泣かれましたよ。結局、卒業はできましたが、7年かかってしまいました。卒業後はちゃんと就職できているものの、自分でも奇跡だと思いました」彰さんはそう答えます。

職員は次の確認がありました。

「学生時代、国民年金は未加入だったんですよね」

「学生時代は年金保険料なんて払っていませんでした。大学の同級生もそんな感じだったと思います」と彰さんは回答。

すると、職員が意外なことをいいました。

「卒業した大学に行って、在籍証明書を取り寄せてください。卒業証書ではダメです。いつからいつまで在籍していたかを書類で証明していただく必要があります」

●なぜ在籍証明書が必要なのでしょうか。後編【年金をもらえたのは「真面目に勉強しなかったおかげ」…65歳・自営業の男性が「不思議な話」と実感した「年金の仕組み」】では、その理由を詳しく解説します。

※本記事に登場する人物の名前はすべて仮名です。

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