相続に関する情報がインターネット上に溢れている昨今、自身が亡くなったあとの相続について、家族間で相談することも珍しくなくなりました。
しかし、家族間の力関係や長年のわだかまりに加えて、お金の問題が入り込むことで、話が泥沼化することもよくあります。
今回は、「将来、相続が起きたら相続放棄をしてほしい」と弟に迫られ、泣く泣く署名してしまった女性のケースを紹介します。
「姉のおもちゃを横取り」する弟
彩子さんはごくごく平凡な家庭で育った。自身は長女で道雄さんという弟がいる。たった2人の姉弟ではあったが、子どものころからあまり仲がよくなかった。そのため、母の江美子さんはしばしばけんかの仲裁をしていたようだ。
それもそのはずで、多感な時期に両親の離婚がきっかけで引っ込み思案となってしまった彩子さんに対し、道雄さんにとって、両親の離婚は彼が物心つく前の出来事だったので、特に屈託もなく活発に育ったという違いがある。
幼いころから、弟におもちゃやお菓子を横取りされる。でもそんな時も自分さえ我慢すればその場が丸く収まる。そんなことの積み重ねで、彩子さんはつい弟の言いなりになってしまうのが常となっていた。
そんな関係は大人になっても変わらなかった。「正直面倒ごとを押し付られるくらいはまだましです。弟は中学生になるころには社会人だった私に対してお金の無心をするようになりました」彩子さんは疲れた顔でそう語る。
もはや彩子さんに問って道雄さんは血のつながった家族でありながら、常に気持ちをすり減らされる相手になっていた。
そんな姉弟の間で、相続争いが起こるのは時間の問題だったのかもしれない。
タイミングの悪いことに、昨今の物価高にともなう株高・資産高により、母・江美子さんが亡くる直前での資産額は、10年前と比較して約数十倍にまで膨れ上がっていた。
元々、母・江美子さんは資産運用が趣味であったことも相まって、ここ数年は「相続税はどうしましょう」というのが口癖だったという。
