なぜ最悪のタイミングで売買してしまうのか?【レポート本編】

 多くの株式投資家にとって、永遠の悩みとも言えるのが「いつ買って、いつ売るのか」という投資タイミングの判断です。

 足元ではイラン情勢などの地政学リスクによって株価が激しく乱高下する場面も多く、何が正解なのか分からず、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

 そんな中、多くの投資家が感情に流され、最悪のタイミングで売買を繰り返してしまう現実があります。

 今回は、なぜ人は投資タイミングを間違えてしまうのか、その原因を行動経済学の観点から深く掘り下げ、成功するための思考法を解説します。

投資が「上手い人」と「下手な人」の決定的な違い

 投資の世界では、上手い人と下手な人の差が残酷なまでに現れます。

 上手い投資家の例を挙げれば、世間で話題になるずっと前からすでに銘柄を仕込んでおり、後から他の投資家が追いついてきた頃には、すでに大きな含み益を抱えた状態で悠々と保有を続けています。

また、相場が過熱している時にこそ現金を蓄えておき、いざ暴落が来た時にそのキャッシュ余力を使って大胆に買い向かうことができます。

あのウォーレン・バフェット氏も、現在は現金を積み増してチャンスを待っていますが、まさにこれが上手い投資家の立ち回りです。

 一方で、投資タイミングが下手な人には明確な共通点があります。

最も典型的なのは、SNSなどで特定の銘柄が「熱い」と話題になってから飛びつき、結局そこが天井になってしまう「イナゴ投資」のパターンです。

また、暴落の初動で「押し目買いだ」と飛び込んでさらに深い下落に巻き込まれ、最後には耐えきれなくなって大底で狼狽売りをしてしまう人も少なくありません。

高いところで買って、含み損に耐えきれず安いところで売るという「往復ビンタ」のような行動は、投資において最も避けるべき最悪のパターンですが、現実に多くの投資家がこの罠にはまっています。

行動経済学の罠その1:ナラティブ・バイアス(物語性)

 なぜ多くの投資家がこのような失敗をしてしまうのでしょうか。

それは、人間が本来持っている性質に起因しています。

その代表的なものの一つが「ナラティブ・バイアス」です。

これは、起きた事実に対して、自分の中で一つの物語(ストーリー)を作り上げ、そればかりを信じてしまう傾向を指します。

 例えば、イラン情勢が不安定になれば「原油価格は上がり続け、インフレが深刻化する」というストーリーが描かれます。

もちろん、それは一つの可能性ですが、人間はこの物語に固執しやすく、さらに拡大解釈して陰謀論のような極端な話にまで思考を広げてしまうことがあります。

しかし、相場には常に逆の可能性があります。

ホルムズ海峡が解放されたというニュース一つで、原油高のストーリーは一気に崩れるかもしれません。

 特定の物語を真に受けすぎると、すでにストーリーが織り込まれて株価が上がった状態で高値掴みをするリスクを高めてしまいます。