ローテーブルの上の秘密
土曜の午後、郁美は洗濯物を取り込み終えると、そのままリビングのローテーブルを片づけ始めた。
仕事がある平日はどうしても後回しになりがちなため、こういう細かなことは休みの日にまとめてやるしかない。学校で配られた資料、マニキュアの小瓶、ヘアアイロンなど、朝から出かけている葉月の持ち物が、今日もあちこちに広がっていた。
「もう、ちょっとくらいまとめて置けないの」
独り言をこぼしながら、郁美は紙類を重ねた。すると薄いテキストを持ち上げたとき、その下から白い封筒が1通、するりと滑り出た。封はすでに切られていて、口の部分が雑に裂けたままになっている。
拾い上げた途端、郁美の手が止まった。クレジットカード会社から葉月宛に届いた通知だったからだ。
「え、クレカ? いつの間に作ったの、あの子」
いくら開封済みとはいえ、勝手に郵便物を見るのはどうかという気持ちはあった。それでも、最終的に嫌な予感のほうが勝った。郁美は封筒の中身を引き出し、それから件名を見て、はっと息をのんだ。
“お支払いのお願い”――督促状だった。
「……うそ」
かすれた声が漏れる。10万円を超える未払い金額、支払い期限、利用停止の可能性について。何度読み返しても見間違いではなかった。
「どうして……?」
そもそも葉月がクレジットカードを作ったことも、郁美は知らなかった。
18歳の専門学生である葉月が、自分の意思で申し込みをすること自体は、制度上は問題ないのだろう。だが、娘が自分に黙ってカードを作り、さらに支払いを滞らせていたという事実は、郁美にとって衝撃的だった。
