味方だったはずの夫
孝弘が味方でいてくれたからこそ、この家で生活をし続けられていた。そのことに感謝はしている。でも今回の孝弘の行動は誰のためにもなっていない。ただ自分が気持ちよくなっているだけのものだった。
怒りと困惑の2つの感情が脳裏をぐるぐると回る。靖子はこれからどう立ち回っていこうかと考えていた。すると誠子の怒声が鳴り響いた。
「どこで油売ってるんだ! さっさと夜の準備をしたらどうなんだ!」
靖子は大きくため息をついて寝室を出て、居間に戻るとまた孝弘が誠子に食ってかかっていた。
「そんな怒鳴り散らすくらいなら自分でやれよ。なんで靖子にばっかやらせるんだよ?」
「靖子さんの仕事だから言ってるんだよ……」
「そんなの関係ない。靖子だって十分にやってくれてるんだから手伝うくらいはしろよ」
靖子は無理矢理笑顔を作って間に入る。
「ごめんなさい。すぐに夜の準備をしますね。その前にお菓子を出しますから待っててください」
ちょっとでも和めばいいと思って発した言葉だったが、誠子は無視してこちらに厳しい目を向けてきた。
「何が十分なもんか。十分だったらこっちは何も言わないよ。できてないから言ってるんだ。本当にどうしてこんなのがうちに来たのか……。私は今まで一度たりともこんなのが来て良かったなんて感じたことがないよ」
これ以上何も聞きたくないと思って靖子は台所に避難した。
