我慢し続けた三花の本心
口にしてしまうと、その通りだと思った。佳織は眉を寄せ、小さくため息をつく。
「いくら正しいことだからって、何でも許されるわけじゃないよ。言い方とか、タイミングとか、そういうの大事でしょ」
「でも、侑大も忙しいし」
「忙しくても、三花を雑に扱っていい理由にはならない」
そうはっきり言われて、三花は俯いた。夫婦間の問題を大げさにしたくなくて、自分の苦しさを小さく見積もっていたのかもしれない。
「何なら私が侑大に言おうか?」
「え」
「さすがに腹立つし。思いっきり説教してあげるよ」
佳織らしい言い方に、三花は少しだけ笑った。しかし、すぐに首を横に振る。
「ううん。それは、私が言わなきゃだめだと思う」
「そっか」
「佳織に話したら、やっと自分でも整理できた気がする」
佳織は「ならよかった」と言って、テーブルの上のグラスを指先でくるりと回した。
「うまく言おうとしなくていいから、一番つらいことだけ、ちゃんと伝えな」
その言葉に頷きながら、三花はまだ温かいスープの取っ手を持ち上げた。
