S&P500下落と50兆円の現金の行方【レポート本編】
株式投資家の皆様にとって、ウォーレン・バフェットという存在は常に羅針盤のようなものでしょう。
昨年、彼は長年務めたバークシャー・ハサウェイのCEOを退任しましたが、直近でアメリカのCNBCが行ったインタビューに登場し、元気な姿を見せてくれました。
彼は形の上では引退したことになっていますが、現在でも毎日オフィスに出勤し、実務に対して旺盛な助言を行っています。
インタビューで語られたその口調は非常にハキハキとしており、引退生活とは無縁の「現役バリバリ」の投資家としてのオーラを放っていました。
このインタビューから、バフェットが現在の不透明な市場に対して何を考え、50兆円という莫大な現金をどう扱おうとしているのか探っていきたいと思います。
S&P500の下落は「何でもない」
現在、アメリカの主要指数であるダウ平均やナスダックが調整局面に入り、多くの投資家が不安を募らせています。
しかし、これに対してバフェットは一言、「これは何でもないことです」と一蹴しました。
S&P500が年初来で数パーセント下落している現状について、バフェットは過去の凄まじい暴落を引き合いに出して解説しています。
彼がバークシャーを引き継いでから、市場は3回も50%以上の下落を経験しました。
1987年の「ブラックマンデー」では1日で21%も暴落し、2007年から2008年のリーマンショック時も悲惨な状況でした。
これらに比べれば、現在の数パーセントの下落は、長期投資家の視点に立てば些細な出来事に過ぎないというのです。
彼自身、今の相場が「めちゃくちゃ安い」とは感じておらず、むしろ50%以上の下落が今後起こる可能性さえ視野に入れているような慎重さが伺えます。
トヨタが丸ごと買える資金を動かさない理由
バフェットが現在、どれほどの資金を「待機」させているかをご存知でしょうか。
バークシャー・ハサウェイが保有する現金と国債を合わせると、3500億ドル(日本円で約50兆円)以上という、過去最高の水準に達しています。
この50兆円という数字は、現在のトヨタ自動車の時価総額(約51兆円)とほぼ同等であり、日本が誇る巨大企業を丸ごと一社買い取れてしまうほどの規模です。
これほどの現金を溜め込んでいる事実は、バフェットがいかに現在の相場に対して慎重であるかを物語っています。
投資銀行からは日々、多くの買収提案の電話がかかってくるそうですが、バフェットはそれらを「5秒もかからずに断る」と語っています。
魅力的な価格で提示されている案件がほとんどなく、彼が求める基準を満たす投資先が見当たらないのが現状なのです。
