時計が12時を超え、4月が始まった瞬間に誠也は急いでリビングに向かった。

「瑞穂!」

誠也に呼ばれた妻の瑞穂は目を丸くして人差し指を口に当てた。

「ちょっとうるさいって。何時だと思ってるの? お隣さんとかに迷惑になるからやめてよ……!」

マンションで生活をしているので瑞穂は誠也を注意してきた。

「あ、ご、ごめんごめん。でもすごいことが起きたんだ」

誠也の言葉に瑞穂は首をかしげる。

「何? そんなに慌ててどうかしたの?」

「これだよ、これ」

そう言って誠也は宝くじの券を瑞穂に見せた。

結婚して3年が経ち、お互いに30歳を過ぎた今も誠也は毎年、ジャンボ宝くじを欠かさず購入していた。

宝くじ二等当選の衝撃

「もしかして当選したとか言うんじゃないでしょうね?」

「そのまさかなんだ!」

「……でもこんな時期に当選発表なんてしてたっけ?」

誠也はすぐに宝くじとスマホの画面を見せた。

「年度末ジャンボ宝くじなんだから、この時期に発表してるに決まってるだろ?」

「……ああそうだっけ。あんまり興味ないから覚えてなかったわ」

そう言いながら瑞穂はくじの番号と当選番号が表示されている画面を見比べて、そして固まった。

「え……? 二等……?」

「そうなんだよ! ついに二等が当たったんだ! 当選金、1000万円だぜ! すごくないか⁉」

興奮しながら語る誠也に、瑞穂はまだ信じられないといった表情で番号を何度も確認していた。

「本当なの……? 信じられないわ……」

誠也はそこで券とスマホを取り上げ、瑞穂を見据えた。

「これは夢じゃないんだ。宝くじが当たったんだよ……!」

誠也の言葉に瑞穂はようやく受け入れたのか満面の笑みを浮かべて抱きついてきた。

「すごい! ずっと無駄なことにお金を使ってるなって思ってたけど本当に当てるなんて!」

「だろ? じゃあこの券は俺が銀行に持っていくから」

「え? 私も行きたい」

「……そうか。まあそうだよな。だったら時間を合わせて行くようにしよう。有給なり半休なりを取らないといけないから、すぐには無理だけど」

誠也の提案に瑞穂はうなずいた。

「うんうん。絶対にそうしよう」