同業に及ばぬ利益率 採算改善に向け投資攻勢560億円
先述のとおり、奥村組は26年3月期に利益が回復する見通しです。しかし、同業他社と比べると利益率には物足りなさもあります。
まず、建設業界は業績の改善局面を迎えています。人件費や建設資材の高騰が利益を圧迫していますが、受注の入れ替わりも進んだことで採算が改善している構図です。
一方、奥村組は直近で発生した一時的要因も災いし、反発が弱い状況です。再生可能エネルギー発電が事故の影響で稼働を停止(※)していることもあり、26年3月期の予想営業利益率は5.02%と、同業と比べると低水準にとどまります。
※石狩バイオエナジー。26年4月に商業稼働を再開予定
奥村組は立て直しを急ぎます。28年3月期までの3年間で560億円を投じる計画で、うち130億円を省人化といった工事採算性の改善に振り向ける計画です。25年には覆工コンクリートの自動打設を導入したほか、下水道のAI調査といった技術を開発しました。
奥村組はゼネコンであり、建設原価の大部分は外注費が占めます。工事技術の開発やDXを進めることで労務費を抑制し、収益力を高める方針です。
さらに大きな投資を計画するのが不動産事業および新規事業です。3年間の投資額は410億円で、回収と差し引いたネットでも380億円を投じます。不動産は事業規模の拡大を目指すとともに、リノベーションも実施することで収益の増加を図る考えです。新規事業は下水道の運営受託を念頭に官民連携の事業を展開するほか、M&Aを通じた新規領域への進出も模索します。
これらの取り組みを通じ、営業利益率は28年3月期に6%まで回復する計画です。もともと営業利益率は25年3月期に6.8%に達する計画でした。奥村組は投資を強め、出遅れを取り戻します。
【主な財務目標(~28年3月期)】
・売上高:3300億円(25年3月期実績:2982億円)
・営業利益:200億円(同97億円)
・営業利益率:6.0%(同3.3%)
・ROE:8%以上(同1.5%)
※ROE…自己資本利益率
出所:奥村組 中期経営計画
