米系大手運用会社キャピタル・インターナショナルは3月16日、今後20年間の主要資産クラスにおけるリターン・相関・ボラティリティについての長期見通しをまとめた「2026年資本市場前提(Capital Market Assumptions:CMA)」を発表した。同日に記者向け説明会が開催され、2025年時点の予想と比較して株式・債券ともに期待リターンはわずかに引き下げられたものの長期投資家にとってポジティブな環境が続くとの見方が示された。

株式・債券の長期期待リターンは依然ポジティブな環境

同社のCMAは複数のマーケットサイクルを織り込んだ20年間を対象としており、毎年アップデートされている。主にマルチアセット運用戦略の土台として活用してきたもので2023年から外部公開を開始。日本での発表は今回が初めてとなる。

公表された2026年版のデータによると、株式市場の長期期待リターンは全世界株式6.0%、米国株式6.1%、日本株式6.8%、エマージング株式6.5%となっている。債券ではグローバル総合債券(為替ヘッジあり)4.3%、米総合債券4.5%、米ハイイールド社債5.9%、米ドル建てエマージング債券6.6%が示された。

同社のインベストメント・ディレクター 雨宮弘明氏は、これらの水準は長期で見た場合、平均値に近いことを補足した上で「地政学的なリスクを含んでも株式・債券ともに長期の平均的なリターンを提供できる環境にあり、投資環境として決して悪くはないと判断している」と述べた。

留意すべき2つのリスク

同社はポジティブな見通しを示す一方で注意すべきリスクを2点挙げている。

第一はバリュエーションで、背景としてここ数年、株式市場を中心に資産価格の上昇が続き株式の割高感が高まっていることがある。雨宮氏は「企業のファンダメンタルズは堅調だが、何らかのショックが発生した場合に株価が大きく下落する可能性がある。債券市場においてもクレジットスプレッドが歴史的にかなり縮小しており、同様のリスクに留意が必要」と語った。

第二は地政学リスクの高まりだ。雨宮氏は「コロナ禍以降、サプライチェーンの脆弱性が強く意識され、米中の緊張関係、中東・ウクライナ紛争など様々な不確実性が高まっている。これが常態化する可能性がある」と述べた。

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説明会では資産運用への示唆として、株式・債券へのバランスのとれた分散投資の重要性や、米国株・グロース株への極端な集中を避けて地域・スタイルを分散したポートフォリオを構築する意義が強調された。長期視点の資産運用は個人投資家にとっても重要なテーマとなっている。足元の不透明感が増す今こそ自身のポートフォリオに偏りがないか点検してみる時かもしれない。