「オール・カントリー」を補う「世界経済インデックス」
第2位の「世界経済インデックスファンド」(設定は三井住友トラスト・アセットマネジメント)は、世界の株式と債券に分散投資を行うことで、リスクを低減しつつ世界経済の発展に見合ったリターンを得ていくことをめざす。基本的な組み入れ比率は地域別(日本、先進国、新興国)のGDP(国内総生産)総額の比率を参考に決定している。世界の経済規模に応じて地域別配分比率を決定していることは、代表的な全世界株式インデックス「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」の内包する指数構成の限界・デメリットをカバーする効果が期待できる。
「MSCI ACWI」は、投資可能な株式の時価総額を基準に構築されているため、世界経済の実態とは異なる姿をしている。たとえば、2026年のIMF予測に基づく世界全体の名目GDP総額は約115兆ドルで、第1位の米国が全体の約28%、第2位が中国の約18%、ドイツの約4.6%、インドの約3.9%、日本の約3.9%と続く。GDPレベルでは先進国が約60%で新興国・開発途上国で約40%という比率(予測)になっている。ところが、時価総額を基準に組み入れをすると、「マグニフィセント・セブン」など巨大な時価総額企業が多い米国の株式を反映するため、「MSCI ACWI」の国別比率(2026年2月)は米国61.63%、日本5.39%、英国3.45%、カナダ3.13%、中国2.87%などであり、実際のGDP比率と大きくかけ離れてしまっている。
このため、世界の投資家の間では、米国に偏重している「MSCI ACWI」をベースとして保有している場合は「MSCI ACWI(米国除く)」や「MSCI EM(新興国)」などを加えることで米国偏重の国別構成比を修正することが行われている。もちろん、世界の名目GDPの比率がリスク管理された理想的な姿だと確定される訳ではないので、分散の考え方は個々の投資家の判断で異なるだろう。ただ、多くの投資家の意見として「現状の株式市場は米国株の比率が高過ぎる」という問題意識ではおおむね一致しているといわれている。
「世界経済インデックスファンド」は基本配分比率を世界の名目GDP比率を参考に決めているので、「MSCI ACWI」よりも世界経済の実態に近い姿をしている。2025年8月末時点の基本組み入れ比率は先進国(除く日本)55%、新興国35%、日本10%だ。2026年2月末時点の国別構成比は、米国32.37%、日本10.08%、中国6.81%、台湾4.30%、インド4.24%などとなっている。日本の比率が高いものの、米国の比率が抑えられ、中国やインドの比率が上がっている。しかも、この比率で株式50%、債券50%に分散投資していることも特徴だ。世界的に金利水準が上がったために、債券から得られるリターンも魅力的になっている。株式インデックスだけでは得られない「安定」というメリットを債券への投資で実現できる。
「世界経済インデックスファンド」の運用実績は2月末時点でリターンが1年で31.78%、3年82.0%、5年106.75%と「ポラリス」に匹敵する。リスクは3年、5年で年率10%程度であるため、「ポラリス」よりもやや高リスクだが、株式インデックスファンドと比較すると十分に抑えられている。このようにリスク管理がされつつ、高いリターンを残しているファンドだけに、「ポラリス」と「世界経済インデックスファンド」の人気はなかなか衰えないと考えられる。
執筆/ライター・記者 徳永 浩
