営業利益予想が840億円から140億円へ

2月13日に発表された業績予想の修正値は、市場に凄まじいインパクトを与えました。

当初840億円と発表されていた通期の営業利益予想は、わずか140億円へと下方修正されました。
減少額にして700億円という、言葉を失うような減額です。

また、最終損益に至っては530億円の黒字予想から一転して100億円の赤字へと転落し、一気に630億円もの利益が吹き飛ぶ形となりました。

これには、不適切会計の修正だけでなく、海外事業におけるのれんの減損や事業撤退費用、在庫評価の適正化といった多額の損失が一気に計上されたことが背景にあります。

さらに衝撃的なのは過年度の修正額です。
過去の決算にまで遡って洗った結果、売上高で607億円、営業利益で332億円もの数字が実態のない「水増し」であったことが発覚しました。
これらは特別調査委員会の調査だけでなく、会社側が危機感を持って行った「自主点検」によってさらに多くの不正が洗い出された結果でもあります。

在庫水増し・売上前倒し・損失先送りの三悪

発覚した不正の手口は多岐にわたり、かつ組織的に繰り返されていました。
その内容は大きく3つのカテゴリーに分類できます。

1つ目は「在庫の水増し」です。
本来なら価値が下がって廃棄すべき在庫や、売れる見込みのない在庫について損失処理を行わず、資産として計上し続けることで利益を多く見せていました。

2つ目は「売上の前倒し計上」です。
まだ条件が確定していない取引や、完了していない工事について、目標達成のために今期の数字として無理やり計上するという手法です。

そして3つ目が「損失の先送り」です。
原価が上がっているにもかかわらず費用を計上しなかったり、本来行うべき減損処理を将来へ回したりすることで、目先の利益を粉飾していました。
さらに悪質なのは、不自然な内部取引を介在させて売上を膨らませていたケースです。
実質的な価値がないにもかかわらず、グループ内で取引を循環させることで、見かけ上の売上規模を大きく見せていた可能性が指摘されています。
これらの処理が親会社の一部署であるプラントガス部だけでなく、M&Aで獲得した複数の子会社において数年にわたり継続されていた事実は、企業としての信頼を根底から覆すものです。

目標達成を最優先する歪んだ企業文化

なぜ、これほど大規模な不正が野放しにされてきたのでしょうか。

調査報告書が指摘する最大の原因は、目標達成を最優先する「企業文化」と、強烈な「トップダウン・マネジメント」にあります。
1兆円企業という巨大なビジョンを掲げる中で、いつの間にか「顧客への価値提供」よりも「業績目標の達成」そのものが目的化してしまいました。

外部環境がどうあろうと目標を達成せねばならないという過度なプレッシャーが現場にのしかかり、ハラスメントとも受け取られかねない厳しいマネジメントが常態化していました。
さらに、経営トップが強力な人事権を掌握していたため、組織全体が「トップの意向に沿うこと」を優先し、異を唱えることができない空気が醸成されていたのです。

こうした歪んだ圧力がグループの末端まで浸透し、各地で不適切な処理が引き起こされる土壌となりました。