赤字国債に頼らずできることしかしない
高市政権は発足当初「プライマリーバランス(PB)の凍結」も辞さない構えだったが、その後は複数年度で確認するというように、当初より抑制的なトーンを示している。
実際、令和8年度(2026年度)予算案では、公債依存度(国債収入/一般会計歳入)が24%台まで低下しており、「借金依存からの脱却」を数字上でも確認できる(図表2)。
一方で、高市政権は政府効率化省を創設し、不必要な支出を削ることで成長に資する予算に組み替え、追加の赤字国債を抑制して政策を実行する「財政の持続可能性」を優先する姿勢も示している。
重要となる「信認の回復」と「日銀・機関投資家との対話」
しかしながら、その一方で金融市場では、2025年末から2026年初頭にかけての長期金利の上昇(債券安)と円安への危機感がある(図表3)。
背景には、「積極財政=国債増発」という連想から、超長期債を中心に利回りが上昇(債券価格の下落)してきたことがある。こうしたことからすれば、今後も丁寧な市場との対話が求められるだろう。また、独立性を巡って緊張感があった日銀とも連携することで、政府と中央銀行がバラバラではなく、物価と市場の安定のために協調しているというメッセージを出し、投資家の安心感を誘うことも重要になろう。
以上より、「高市政権は規律を伴った積極財政を進めようとしており、市場を壊すような無謀なことはしない」とまとめることができるだろう。具体的には、「強い経済」を作るためには支出は必要だが、それはあくまで「成長の範囲内」で行い、債務残高の対GDP比を引き下げていく。この「成長と財政再建の二兎を追う」という姿勢が、高市政権の責任ある積極財政の核心と言える。