要旨

高市政権「責任ある積極財政」とは、市場が警戒する「野放図なバラマキ(拡張的財政)」を否定し、将来の成長に直結する分野へ先手を打って投資する「先見的(プロアクティブ)財政」へのシフトを強調している。

主な投資先としては、AI・半導体(TSMC、ラピダス等)、経済安全保障、GX(脱炭素)、省人化投資などであり、単なる景気下支えではなく、日本の「稼ぐ力」を強化し、将来の税収増につなげることを目的としている。

実際、財政規律も維持しており、2026年度予算案では公債依存度を24%台まで下げ、新規国債発行額を30兆円未満に抑制することで、プライマリーバランス黒字化予算となっている。「赤字国債に頼らずできることしかしない」という姿勢を数値で示し、国際的な信認確保も意識している。また、政府効率化省による歳出削減や、名目成長に伴う税収増を借金返済にも充てることで、追加の赤字国債を抑制する仕組みを構築している。

今後の課題は、市場・日銀との対話による「信認の回復」。特に、金利上昇や円安を防ぐため、市場とのコミュニケーションを最重要視すべき。対日銀としては、財政と金融の足並みを揃え、急激な利上げを招かない程度の適切な財政規模を維持するべき。対投資家としては、国債発行計画の透明性を高め、メガバンクや生保などの機関投資家に対して「無謀な借金はしない」という安心感を与えるべき。

高市政権の政策の本質は、「成長(強い経済)と財政再建の二兎を追う」ことにある。成長に必要な投資は惜しまない一方で、債務残高対GDP比の低下を目指すという、極めてバランスを重視した戦略的な財政運営を目指している。