地域で明暗 同業は米中の不振で苦戦、スズキはインドで躍進
スズキの好評価は高い成長性が背景にあると考えられます。同社の営業利益は25年3月期までの3年間で3.4倍に拡大しました。成長率はトヨタ自動車(同+60.1%)や本田技研工業(同+39.3%)を大幅に上回ります。
同業を圧倒する成長率は市場の違いに起因します。主要な自動車メーカーが中国や北米に注力する一方、スズキは主にインドを中心としたアジアへ展開しています。
まず、自動車は中国と北米が主要市場です。24年の世界販売台数9531.5万台のうち、中国が3143.6万台、米国とカナダが1824.7万台を占めます(出所:ジェトロ)。この市場構成から、多くの自動車メーカーは中国や北米へ進出しています。しかし、近年はそれらの地域で販売が伸び悩んでおり、苦戦の一因となっています。
一方、スズキは両市場への進出は限定的です。四輪車の販売台数は日本を除くアジア(インド、パキスタン、インドネシア、タイなど)が6割を占め、日本と欧州を含めると9割を超えます。特に重要な市場はインドで、単一国としてはスズキ最大の市場です。
スズキはインド自動車市場の開拓者です。1983年に「マルチ800」の生産を開始し、四輪車の累計販売台数は25年11月に3000万台を突破しました。参入当初は市場全体で10万台以下と、ほぼ市場がないような状態でした。しかし、インドの自動車市場は24年に522.6万台まで成長し、22年には日本を抜き世界3位の市場となっています(出所:ジェトロ)。インド進出は勇気を伴う判断だったと思われますが、戦略は奏功し、スズキは現地でトップシェアを握っています。
インドの重要性はさらに高まっています。現地工場はグローバルな生産拠点へと進化しており、生産車を各地へ輸出しています。特に「次なるインド」と見込む中東やアフリカは、インド製モデルを輸出して開拓する方針です。新しい事業も生まれており、牛糞から自動車燃料や肥料を製造するバイオガス事業を現地で展開しています。スズキにとって、インドは単なる販売先ではなく、戦略上の重要な拠点となっています。

