企業は取扱業者の選定を行う

職場つみたてNISAは、NISAの仕組みを職場で活用するもので、NISA推進・連絡協議会によって枠組みが整備されています。職場つみたてNISAは、通常のNISAと仕組みや考え方は同じで、基本的にはつみたて投資枠(年間投資枠120万円)を活用することになっています。一方で、通常のNISAとの違いは、職場(企業)が取扱業者(金融機関)を選んでいる点です。NISA取扱業者(成長投資枠)は2025年6月末時点で709社もあるので、そのなかから利用する金融機関がすでに選ばれているだけでも、中間層にはハードルを下げることになると思われます。

職場つみたてNISAの導入は、次のような手順で進められます(以下、取扱業者が野村證券の例)。

・企業とNISA取扱業者が職場つみたてNISAに関する契約を締結
・制度利用についての労使協議を行い利用規約を整備
・利用する従業員はNISA取扱業者に口座を開設
・NISA取扱業者による従業員向けの説明会等の実施
・従業員はNISA取扱業者の商品のなかから投資対象を選択、投資額を決定
・企業はNISA投資金額を給与天引きして、NISA取扱業者に送金

さらに、企業が奨励金をつけることも可能です。金額に応じた定率(3%、5%等)か定額(1,000円、5,000円等)から選択します。導入企業の半数程度が奨励金をつけているようです。

なお、奨励金は賃上げ促進税制の対象となり、一定割合を法人税額(または所得税額)から控除できます(社員からすると給与所得)。

職場つみたてNISAが徐々に広がりを見せている背景には、財形制度利用者の減少もあるようです。低金利が長引いたため、利息に対する税優遇がある財形制度は存在意義が薄れ、利用件数も残高も減少傾向が続いています。さらに、新規の取り扱い停止や、取扱自体を停止する金融機関も出ています。

金融機関のサービス向上(オンライン手続きへの切り替え等)も見込めないことから、財形制度の廃止に踏み切る企業もあります。福利厚生の縮小とならないために、財形制度に代わるものとして職場つみたてNISAを導入するといったケースもあるようです。